活動報告

【市政報告10号記事②】電子図書館の導入

投稿日 2021年8月14日

【質問 1回目】

 従来の紙の出版物ではなく、デジタルデータで作成された出版物である電子書籍をインターネット経由で紙の本と同じように、検索・貸出し・返却・閲覧できるシステムのことを総称して電子図書館と呼んでいます。日本では、2010年頃から電子書籍の普及と並行して、公共図書館などが紙の図書の貸出しに加えて電子書籍の貸出しを行う事例が始まってきており、少しずつ注目を浴びてきています。

 さらに、今年の新型コロナウイルス感染症の流行により、実際に現場まで行かなくても本を借りられるということで、公共図書館での電子図書館の整備が急速に進んできているようです。電子出版制作・流通協議会によると、今年3月時点で約90だった全国の導入自治体は、今年度だけで40ほど増える見通しであるようです。また、電子図書館運営大手の図書館流通センターによると、同社のシステムを利用する78の自治体では、5月の貸出実績が前年同月比5.3倍になったようです。この導入自治体数と貸出実績の急増の状況からも、電子図書館の需用が増えてきていることが見てとれます。

 近隣市では、大阪市や堺市などが10年ほど前から、そして茨木市が本年7月から電子図書館のサービスを開始されています。

 そこで、高槻市においても時代の変化に取り残されないように、電子図書館の整備について検討を進めるべきだと考え、今回質問させていただきます。1問目として、4点伺います。

 1点目として、改めて自治体が運営する公共図書館の運営目的と役割についてお答えください。

 2点目として、高槻市の図書館運営における電子化の取組についてお答えください。

 3点目として、全国と大阪府、それぞれの電子図書館の整備状況についてお答えください。

 最後に、これまで高槻市において電子図書館や電子書籍に関するニーズ調査をされたことがあるのか、結果も含めてお答えください。

【答弁 1回目】

 まず、市立図書館は市民の教養と文化の発展に寄与するための市の拠点として位置づけて運営をしております。

 次に、市立図書館における電子化の取組といたしましては、平成14年1月からインターネットによる蔵書検索、平成16年には予約受け付けを開始いたしました。平成21年には、ICタグの導入によりJR駅前図書コーナーにおいて、全国的にも珍しい無人の予約受け取りコーナーを開始するなど、利便性の向上に取り組んでまいりました。その他、地域資料の電子アーカイブ化にも取り組んでおります。

 次に、公立図書館における電子書籍貸出しサービスの導入は、本年7月1日現在、図書館を持つ1,380自治体中100自治体で、7.2%となっております。大阪府下では、堺市、大阪市、松原市、高石市、八尾市の5市が導入しております。

 最後に、本市における電子書籍のニーズにつきましては、平成28年度の市民意識調査において、充実してほしい資料の設問に対し、小説27.7%、実用書23.4%、雑誌20.4%と要望が高い一方、電子書籍は6.9%でございました。

【質問 2回目】

 電子図書館の整備状況ですが、本年7月1日時点において、公共の図書館を持つ1,380の自治体のうち、100自治体で7.2%と、全国で見るとまだまだ少ないようです。また、本市の電子図書館や電子書籍のニーズについても平成28年度時点では小さかったことが分かりました。
 そもそも、電子書籍自体が一般的に利用されるようになってからまだ日も浅く、本を読むならやっぱり紙の書籍でと考えておられる方も今はまだ多いのではないかと思います。

 一方で、スマートフォンの保有者の割合は、2019年時点で約7割と年々増加してきており、携帯電話とPHSの合計の保有者の割合よりも約4割も多くなっておりまして、スマートフォンと相性のいい電子書籍のニーズは今後ますます増加していくことが予想されます。

 そこで、2問目として、2点お伺いします。

 この時代の変化を捉えて、各自治体での電子図書館の整備が急速に進んできていることは1問目でお話ししたとおりですが、改めて電子図書館の整備によるメリットと、整備に向けた課題についてお答えください。

 2点目として、高槻市の電子図書館の整備に向けたこれまでの検討状況と今後の見通しについてお答えください。

【答弁 2回目】

 まず、電子図書館のメリットといたしましては、インターネットを介し、いつでも、どこからでも貸出しが可能であること。貸出期限になれば自動返却され延滞がないこと。障がいがある方の読書にも有用なこと。場所を取らないことなどが挙げられます。

 しかし、そもそも図書館が利用できる電子書籍のタイトル数が少ないこと、利用期限や回数制限があり、購入した書籍を利用し続けるためには、継続的に費用が必要なことなど、対応しなければならない課題も多くございます。

 次に、大阪府立図書館では、利便性の向上のため、紙の書籍に加え電子書籍を提供する手法について研究されておられますが、現時点での導入については課題が多く時期尚早であると判断されております。市といたしましても、現時点ではコンテンツの数や分野が限定されているなど、解決すべき課題が多くあると認識しております。今後とも、状況の変化に注視しつつ、引き続き研究してまいります。

【意見・要望】

 電子図書館の状況については大変よく理解できました。電子図書館の導入によるメリットは多数あるものの、まだまだサービスとして整備されているわけではなく、時期尚早として引き続きの研究になるとのことです。

 確かに、今すぐに電子図書館を整備したところで、費用に対して借りられる本が非常に少ない今の現状ですと、十分にサービスが整備されている従来の図書館サービスを充実していくほうが現実的かもしれません。しかし、私は電子図書館の整備はこれからの時代にとても親和性の高いサービスであり、今後市民から求められるタイミングが必ず来ると考えております。

 直接関係するものではありませんが、国ではデジタル庁の創設が予定されており、学校ではGIGAスクール構想により1人1台のタブレット端末が整備されました。午前中の一般質問でも平田議員からもありましたが、行政のデジタル化がより一層進んでいくことは明白であり、近い将来、電子図書館のニーズの増大とともに、電子図書館サービスも充実してくるはずです。

 その機を逃さぬよう、引き続き電子図書館の他市の導入状況やサービスの整備状況を調査・研究していただきまして、的確な時期での導入のご検討をいただきますよう要望いたします。

※令和2年第6回定例会(12月15日)議事録より引用

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