活動報告

6月議会一般質問_後半

投稿日 2016年7月7日

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一般質問の前半に引き続き、今回は再質問以降の後半をご紹介させていただきます。

テーマは「ICTガバナンスの強化・確立について」です。

答弁自体は非常にシンプルですが、理事者や担当課からは前向きな話を聞いていますので、今回このテーマについて取り組んだことの一定の成果がのちのち出てくるのではないか、と期待しています!

ということで、今回はその後半部分についての質問&答弁の全文を掲載します。

まず、質問の要約は以下になりますので、あまり時間がない方はこちらをご覧ください!
そのあとに、全文を載せていますので、そちらもよろしければご覧いただければ幸いです。

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【 前提 】
▼昨今、行政サービスや行政事務において情報システムが広範囲にわたって利用されてきているため、情報システムの利用では多額の費用がかかっている。(経常的にかかる費用として「年間13億円」など)
▼人口減少社会の中で、持続可能な行政運営を続けていくためには、組織的な統制体制と、効率的・効果的な情報システムの調達時における仕組みを整備すること、つまり「ICTガバナンスの強化・確立」が必要。

※ICTガバナンス ・・・ 情報システムの導入・活用に当たって、その目的と戦略を明確にし、組織としてICT全体の統制体制を整備することにより、経営的な視点から、その投資や運営、リスク管理などに、全庁的な課題として取り組むことを目指すも

【 現状 】
▼各課でシステムの調達をおこなう際の手順や手続きが実質的には整備されておらず、システム調達やサーバーの保守など、各課で自由に任されてしまっている。そのため、見積もりや仕様が適正かどうかの判断が難しく、費用が無駄に多くかかっている、などの懸念がある。
▼上記に関連して、高槻のICT分野の専門的な知識を持つ「IT政策課」による各課へのフォロー体制が構築されておらず、専門的な知識の乏しいであろう部署が、自由に業者とやりとりしてしまっている。そのため、機能不足によるシステム改修が必要になる、更新時における適正な機器への入れ替えが難しいなど、費用が余計にかさんでしまっている懸念がある。
▼全庁でどのような情報システムを保有しているかなど、高槻市の情報システムの全体像について市として詳細には把握できていない。
▼CIO(最高情報統括責任者)の役割が情報セキュリテイ分野に重きを置かれており、本来の役割である「情報政策全般」に

【 提案 】
▼システムの調達に当たっては、その手順や事務手続きを標準化することで、客観性・信頼性を担保し、本市にとって本当に必要なシステムを調達できるようになると考える。具体的には「情報システム調達ガイドライン」の制定が必要ではないか。
▼ICTに対する専門的な知識を持つ、IT政策課による各課に対するフォロー体制の構築が必要ではないか。
▼費用対効果の明確化や予算検討へのフィードバックへの利用、また、今後のさらなるICTの利活用などを見据えて、情報システムの基礎情報を全庁で一元的に管理する「情報システム台帳」の整備が必要ではないか。
▼CIOの役割を明確化した上で、CIOを中心とし、CIO補佐官やIT政策課などで構成された、情報政策の推進や情報システムの最適化等に責任と権限をもつ組織横断的な情報化推進組織の構築が必要ではないか。

【 答弁 】
▼議員仰せの通り、情報システム台帳の整備や情報システム調達ガイドラインの策定、またICTガバナンスの強化・確立についての必要性は十分認識している。現在検討している「情報システム最適化・再構築計画」及び情報化計画において、今後検討していきたいと考えている。

【 要望 】
▼「今後検討していく」と、前向きな答弁をいただいたので、実現可能なものから順次取り組んでいただくようぜひともお願いいしたい。
▼昨年から子育てや教育を中心に、本市の未来を見据えて必要だと思う政策について、様々な質問・提案をしてきた。しかし、財源は限られており、人口減少社会の中で、さらなる税収の減少が想定される中で、議員があれをやってくれ、これをやってくればかり言っていてはあまりにも無責任だと思い、今回の質問をおこなった。
▼ICTガバナンスの強化・確立につとめれば、年間数千万円のコストカットにつなげられるはず。このコストカットは、毎年効果があるもので、これが長期的に積み上がってくるとなかなかの金額の経費削減になる。そういった意味からも、ICTガバナンスの強化・確立については全市をあげて早急に進めていただくことを最後に強く要望する。
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以上要約になります。これまであまり市として強く取り組んできていなかった分野なので、少し時間はかかるかもしれないですが、かならず取り組んでもらえると期待しています!

 

以下、質問&答弁の全文です。

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<質問&答弁全文>
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【 質問_2問目 】

2問目は、ICTガバナンスの強化・確立に向けて、もう少し具体的な提案とともに、再質問させていただきます。

本市において、ICTガバナンスの強化・確立を目指すには、実現するべき4つのポイントがあると考えています。そこで、それらの4つのポイントについて、1つずつ具体的な提案とともに質問していきます。

まず、1点目は「情報システムの調達時における、手順や事務手続きの標準化」についてです。

答弁では、情報システムの導入・更新においては、規定と要項に則り、電算化調査票という、システム概要や経費などを記載したものを、IT政策課長とシステム導入・更新の前に、事前協議をすることとなっている、とのことでした。その規定と要項を事前に拝見いたしましたが、たしかに情報システムの調達時における手続きについて、ルール化されているものでありました。しかし、答弁にもあったとおり、電算化調査票自体が、大型コンピュータ、いわゆるホストコンピュータのもとでの、システム導入を想定したものであり、現在多くの場合において利用されている、サーバー型のシステム導入には、あまりそぐわない内容になっています。これは、規定が昭和62年で29年前、要項が平成10年で18年前と、それぞれかなり前に定められており、近年のICT分野における、目を見張るほどの技術革新のスピードに、対応しきれていないことが原因だと考えられます。このように、現状にそぐわない内容であるため、せっかく定めている、システム調達時におけるルールとしてのこれらの規定・要項が活用しきれていません。全体最適の観点をもち、情報システムの効率的・効果的な導入を実現するためにも、いまの時代にあわせた、情報システムの調達時における、手順や手続きの標準化を規定したガイドラインの制定と、そのガイドラインの全庁への徹底が急がれます。

例えば、現在はシステム調達において、各課がそれぞれ自由な手続きで業者とやり取りしているため、見積内容1つとっても業者からバラバラの内容で出されており、見積内容の情報が統一されておらず、それが適正な見積かどうかの判断ができません。そこで、見積依頼書の様式を、全庁で統一することで、正確な見積もりを、業者から出させることができ、その妥当性の判断が可能になります。また、システム調達においては、企画、予算、調達、導入、運用、評価、という、いくつかのプロセスがありますので、調達時以外にも。各プロセスでの書式整備や手順を策定し、全庁で標準化しておくことで、業務改善などの、本来の目的にそったシステムを、適正な予算と内容で導入できますし、更新時には、その評価を適切に行うことで、最適な性能の機器に選定しなおすことができます。

以上のように、システムの調達に当たっては、その手順や事務手続きを標準化することで、客観性・信頼性を担保し、本市にとって本当に必要なシステムを調達できるようになると考えています。具体的には「情報システム調達ガイドライン」の制定が必要だと考えますが、市の見解についてお答えください。

 

続いて、ICTガバナンスの強化・確立に向けた、2点目のポイントは「ICTに対する専門的な知識を持つ、IT政策課による各課に対するフォロー体制の構築」についてです。

答弁では、大型コンピュータを利用しない、システムの管理・運用については、各課にて行なっており、相談があれば、IT政策課は助言等をおこなっている、とのことでした。これは、いいかえるなら、相談がなければ、各課が自由にシステムを調達し、管理・運用を行なっている、ということです。各課にも元IT政策課の職員がいることもありえますが、基本的にはICT分野の専門ではない、職員の組織ですので、どうしても専門的な知識が不足しますし、業者の言いなりに陥ってしまう恐れがあります。例えば、ある目的達成のためのシステム導入であったはずなのに、導入後に、機能不足が判明し、システム改修を行うなどの必要が出てきてしまい、余分な費用がかかること、などが考えられます。このようなことをなくすためには、専門的な知識を持つIT政策課の関与を、義務化することで、適正なシステム調達につなげられます。予算編成時には、情報システムの企画内容の相談に応じ、予算執行時には、仕様書を作成し、見積書の精査を行う、など、情報システムの企画や調達、更新時における評価まで、ICT分野のプロである、IT政策課が関与する場面は、多岐にわたりますので、非常に効果的な取り組みになることは間違いありません。このように、専門的な知識を持つ組織による、各課へのフォロー体制の構築はICTガバナンスの強化・確立においては必要不可欠なものになっています。

以上のように、ICTに対する専門的な知識を持つ、IT政策課による各課に対するフォロー体制の構築が必要だと考えますが、市の見解についてお答えください。

 

続いて、3点目のポイントは「全庁で利用されている情報システムの基礎情報をまとめた、情報システム台帳の整備」についてです。

まず、情報システム台帳とは、情報システムの全体像の把握、費用対効果の明確化、予算検討へのフィードバック、などの目的を見据えたもので、情報システムの基礎情報を、全庁的にまとめたものです。これまでは、全庁でどのような情報システムを保有しているかなど、情報システムの全体像について、市として詳細には把握されておりませんでした。そういった中で、答弁にもあったとおり、昨年度、各システムの概要や経費、利用状況等について調査をおこなったとのことです。しかし今回の調査は、情報システムの最適化・再構築に向けてのものであり、そのための情報収集であるため、情報システム台帳、という観点からすると、今回の調査では足りない情報があるものと思われます。これまでは、各課で自由にシステムの調達を行なっていたため、それぞれ把握していた情報にもばらつきがあり、実際に事前の打ち合わせでも、今回の調査で集めた情報よりも、さらに詳しい情報についても、体系的に把握する必要がある、ということを伺っています。また、今後は様々な場面でICTの利活用がなされ、いま以上に、ICTが広範囲に広がっていくことが、容易に想像できますので、統一したフォーマットに則り、情報システムの基礎情報を、全庁で一元的に管理することの必要性が、大きくなることは間違いありません。

以上のように、費用対効果の明確化や予算検討へのフィードバックへの利用、また、今後のさらなるICTの利活用などを見据えて、情報システム台帳の整備が、ICTガバナンスの強化・確立に向けて必須になると考えますが、こちらについての市の見解をお伺いします。

 

最後は、4点目のポイントである「情報政策に責任と権限をもつ、CIOを中心とした、組織横断的な情報化推進組織の構築」についてです。

答弁では、本市におけるCIO及びCIO補佐官は、セキュリティポリシーの中で、情報セキュリティに関する統括的な役割を担っており、CIOの役割としてはセキュリティ分野に力を置いているようですが、一方で、本市の情報政策の最上位計画にあたるeたかつき計画においてはCIOの役割が明確化されていません。

ここで、CIOの定義について、あらためて整理しておきたいのですが、CIOは「Chief Information Officer」の略であり、日本語では「最高情報統括責任者」などと呼ばれています。つまり、CIOとは、自社の経営理念に合わせて情報化戦略を立案、実行する責任者のことであり、これは自治体におけるCIOにおいても同じであります。ちなみに、総務省による「自治体CIO育成研修」の中にも、「自治体CIOは、情報セキュリティ対策でしか、機能していないケースが目立つが、本来、CIOは、「情報」そのものをマネジメントする役割があり、住民サービスを考えた場合、情報セキュリティ対策以外にも、広範囲な役割が必要となる」と、記載されています。本市においても同様に、現在はCIOの役割として、セキュリティ分野に力を置いていますが、本来のCIOの定義にもある通り、CIOには、「情報政策全般」にわたっての、役割を担っていただくことが、ICTガバナンスの強化・確立においては必要ではないでしょうか。また、自治体CIOは情報政策部門を統括する役割としてだけでなく、経営視点と全体戦略に基づき、情報政策についての最適な判断をおこなう、という自治体の経営幹部としての役割も求められています。

つまり、CIOの役割を、セキュリティ分野だけでなく「情報政策全般の統括者」としての役割と、経営視点をもった「自治体幹部」としての役割の2つを明確化することが必要だということです。これにより、例えば、情報システム調達にあたっての予算検討の段階で、CIOである、副市長を含めた、専門的な組織によるチェックをすることで、より経営視点からのシステム調達を実現することができるようになります。また、ビッグデータの活用や、オープンデータの推進など、未来を見据えて、さらなる情報政策が求められる中で、CIOを中心とした組織横断的な体制があることで、情報政策をより戦略的に進めていくことが可能になります。

以上からしても、ICTガバナンスの強化・確立のためには、CIOの役割を明確化した上で、CIOを中心とし、CIO補佐官やIT政策課などで構成された、情報政策の推進や、情報システムの最適化等に責任と権限をもつ、組織横断的な、情報化推進組織の構築が必要だと考えますが、市の見解についてお答えください。

ICTガバナンスの強化・確立に向けた、4つのポイントについて、それぞれ質問させていただきましたが、以上で2問目の質問になります。
【 答弁_2問目 】

 議員仰せのとおり、情報システム台帳の整備や情報システム調達ガイドラインの策定、またICTガバナンスの強化・確立についての必要性は十分に認識しております。現在検討しております「情報システム最適化・再構築計画」及び情報化計画において、今後検討してまいりたいと考えております。以上でございます。

 

【 要望 】

最後は、意見・要望とさせていただきます。

まず、今回のICTガバナンスの強化・確立に向けて、提案させていただいたポイントについて、あらためて整理しておきますが、「情報システム調達ガイドラインの策定」「IT政策課による、各課へのフォロー体制の構築」「情報システム台帳の整備」そして「CIOを中心とした、組織横断的な情報化推進組織の構築」の4点であります。先ほどそれらに対して、「今後検討していく」と、前向きな答弁をいただきましたので、実現可能なものから順次取り組んでいただくようぜひともお願いいたします。来年度の予算編成にも、様々なシステム調達について、話が出てくることが考えられますので、あまり時間はありませんが、もし間に合うようであれば、来年度の予算編成までに、完璧ではないにしろ、ある一定までの制度設計を行なっていただき、効率的かつ効果的なシステム調達を実現できるように頑張っていただきたいと思います。

また、今回はあまり深く触れませんでしたが、本市における情報政策の最上位計画であるeたかつき計画、いわゆる情報化計画についても、このICTガバナンスの強化・確立に向けた動きの中で、改訂を検討するべきだと考えております。現在は更新頻度が5年に1度という状況であり、ICT関連の技術革新のスピードを考えると、2年に1度の更新でも良いくらいですし、内容についても、情報システム整備の計画が多く、情報政策、の観点があまり入っていません。ですので、あらためて、情報化計画を「情報政策の最上位計画」として再定義しなおし、ICTガバナンスの強化・確立の、柱になるような計画にしていただくこともあわせて期待しております。

 

私は昨年度議員になってから、一般質問などにおいて、子育てや教育を中心に、本市の未来を見据えて、必要だと思う政策について、様々な質問・提案をさせていただきました。しかし、財源は限られており、人口減少社会の中で、さらなる税収の減少が想定される中で、議員が、あれをやってくれ、これをやってくれ、ばかり言っていてはあまりにも無責任だと思い、今回のICTガバナンスの強化・確立についての質問と提案をさせていただきました。

ICTガバナンスの強化・確立によって、情報システムの調達コストの適正化、及び、情報システムの投資効率の改善、をかならず実現することができます。実際に、ICTガバナンスの強化・確立を、先進的に行なってきた他の自治体では、情報システムにかかる経費を、20%から30%、削減することに成功しています。もちろん、本市でも、他市と同規模の削減が実現するかどうかは、現段階では、詳細な情報が出てきていないため、定かではありませんが、本市の情報システムにかかる費用をかんがみると、年間数千万円のコストカットにつなげられるはずです。このコストカットは、毎年効果があるものですし、これが長期的に積み上がってくると、なかなかの金額の経費削減につながります。

未来に向けて、本当に必要な投資を続けていくためにも、情報システムに関わる経費削減に取り組む必要がありますので、そういった意味からも、ICTガバナンスの強化・確立については、全市をあげて早急に進めていただくことを、最後に強く要望しておきます。

以上をもちまして、今回の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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