活動報告

【市政報告10号記事⑤】公務員の人事評価と給与制度改革

投稿日 2021年8月14日

【質問 1回目】

 濱田市長のもと平成29年に発出された「高槻市みらいのための経営革新に向けた改革方針」によって、これまでも様々な行財政改革を強く進めてこられています。その改革方針の中の「人件費の抑制」においては、職員数の縮減や人材育成の強化に取り組むとされています。
 職員数が縮減され、少数精鋭で行政運営を行えるようにするためには、同じ項目内で示されているように、「職員がやりがいを持って働けるように、適切な評価基準で人事考課制度を運用し、組織を活性化させ職員の勤務意欲と能力の向上を図ります。」という点が重要になると考えます。今後限られた人材と財源の中で効果的・効率的な行政運営を行うためには、職員がやりがいを持って働く環境を構築し、職員の頑張りに報いることができる人事考課制度と職務職責に応じためりはりのある給与制度が必ず必要になりますので、実現に向けて後押ししていきたいと考えております。

 そこで今回は、適切な評価と処遇によって職員のやりがいを生み出し、人材育成につなげるための「人事考課制度と給与制度」の実現に向けて、1問目として大きく5点質問してまいります。

 一点目として、平成30年12月に職員の人事考課制度や給与制度について一般質問をさせていただいた際、「職員に対する評価を給与面で反映することで職員のモチベーションを高め、活力ある組織としていくためには、より職責に重点を置いた給与制度の検討が必要である」との答弁をいただいておりましたが、その後実際に給与制度の改正に取り組んでいただきました。そこで、本年4月から施行されている新たな給与制度改正について、あらためてその改正に至った経緯や考え方、あわせて制度改正の概要についてお聞かせください。

二点目として、職員がやりがいをもって働くとともに人材育成につなげていくためには、今般の給与制度の改正にあわせて人事考課制度の改正も必要になると考えます。平成16年から導入されている人事考課制度についてこれまでの制度改正の変遷と、今後の改正に対する市の見解や考え方をお聞かせください。

 三点目として、人事考課結果の勤勉手当への反映について、上位・下位の成績率は、中位の職員の成績率から約1割をそれぞれ増減させることとされていますが、最新年度の成績率と評価の分布はどのようになっているのかお聞かせください。

 四点目として、国からは人事考課の結果を昇給にも活用することが求められていますが、平成30年の一般質問の答弁では「さまざまな視点からの検討が必要であることから、現時点では導入しておりません。」とのことでした。人事考課の昇給への活用にあたって、どのような点に課題があると考えているのか、市の見解をお聞かせください。あわせて、大阪府下での人事考課の昇給への活用状況について伺います。

 最後に五点目として、本市の人材育成の方針を示した「高槻市人材育成基本方針」について伺います。当時とは職員構成や職員に求められる能力も変わってきており、人事考課制度の改正にあたっては、「高槻市人材育成基本方針」の改訂も大幅な改定も必要になってくると考えます。そこで、最後の改訂から10年以上運用されてきている「高槻市人材育成基本方針」のこれまでの評価と近年の課題についてお聞かせください。

【答弁 1回目】

 まず、給与制度改正にいたった経緯等についてですが、少子高齢化の進展による様々な影響など、今後本市を取り巻く状況が厳しくなることが見込まれるなか、20年、30年先の将来を見据え、「強い組織」を目指す取り組みの一環として、人事給与制度全般にわたる見直しが必要と考えたところです。
 見直しの概要としては、国家公務員の給与制度を踏まえ、より職務職責に応じた給与制度とするため、行政職給料表の改正による各等級の上限額の引き下げや初任給基準の引き下げを行った上で、昇格メリット、つまり昇格により給料額が上昇する仕組みを創設するなどの対応を図ったものでございます。

 次に、人事考課制度の見直しについてですが、これまでも人事評価を取り巻く環境の変化や職員状況の変化等を踏まえながら、評価期間や評価要素などについて必要に応じて改正を行うとともに、人事配置をはじめ、管理職への昇任時での活用や勤勉手当への反映など、人事管理上の活用や運用の拡充に努めてきたところです。
 今後につきましても、行政を取り巻く環境の変化や職員に求められる資質や能力の変化等を踏まえつつ、ご指摘のような、評価の納得性の向上や評価にメリハリが出るような仕組みなども含め、より良い制度となるよう検討を進めていきたいと考えております。

 次に、人事考課結果の勤勉手当への反映状況についてですが、令和2年度に実施した人事考課の勤務成績の分布状況は、上位1.3%、中位が97.7%、下位が1.0%となっております。

 次に、人事考課結果の昇給への活用についてですが、まず課題につきましては、人事考課はあくまでも単年度の勤務実績に対する評価であることから、次年度以降も評価による影響が引き続いていく昇給に反映させることについては、慎重に検討するべきものであると考えております。
また、大阪府内市町村における人事考課結果の昇給への活用状況につきましては、令和2年4月1日時点で、一部の職員についてのみ実施している団体も含めると、政令市を除く41団体中19団体において活用されております。

 最後に、「高槻市人材育成基本方針」のこれまでの評価についてですが、現行の方針は、地方分権の推進や中核市への移行を背景とした、業務の高度化・専門化に的確に対応するとともに、職員一人ひとりが自らの能力向上に自主亭に取り組んでいくことをコンセプトとして、自己啓発や職場でのOJT、職員研修の推進に重点を置くものとしております。この方針に従って、通信教育講座の積極的な受講や各種派遣研修への職員派遣、時代に応じた集合研修の実施、人材育成に軸足をおいた人事考課制度の運用などの取り組みを実施してきたことにより、職員の人材育成を着実に進めてきたと考えております。
 また、近年の課題につきましては、「団塊の世代」の退職を経て、職員の新陳代謝の結果、大幅に職員が若返る中、多様な行政ニーズに的確に対応していくため、どのようにして職員一人ひとりの能力をより効率的に向上させ、組織のパフォーマンスを最大化し、少数精鋭による行政運営を行っていくのかが課題であると考えております。

【質問 2回目】

 まず、給与制度の改正について、これまでは、上下の職階同士で給料月額の大幅な重複があり、昇格しても次の職階の同額にスライドするだけなので、給料が上昇しづらくなっていました。このことで、役職を問わず同期の給料がほとんど同じであったり、上司と部下の給料の逆転現象が起こったりと、地方公務員法に規定されている職務給の原則から逸脱してしまう給与制度になっていました
 しかし、今般の給与改正により、職階ごとの給料の重なりが以前より少ない給料表を導入し、昇格メリットを生み出すことで、職務職責に応じためりはりのある給与制度が実現しました。この取り組みは以前より求めていたことですので、非常に評価しております。次は、職員がやりがいを持って働き、その頑張りに報いることができる人事考課制度と給与制度の実現に向けてさらなる取り組みを続けていただきたいと考えています。

 そこで、まずは人事考課制度の昇給への活用について意見と要望を申し上げます。1問目の答弁より、単年度の勤務実績を次年度以降にも影響がある昇給に反映させることには慎重な検討が必要だということでした。
 しかし、一部の職員についてのみ実施している団体も含めると大阪府内の政令市を除く41団体中19団体において、人事考課の昇給への活用に取り組んでいるようです。国からも「昇給などに人事評価の結果を反映させずに一律に行うなど、法の趣旨に反する運用がある場合には、速やかな是正を図ること」が求められていることに加え、大阪府内の半数の自治体が実施していることからも、本市においても前向きに昇給への活用に取り組んでいくべきだと考えています。

 頑張れば少しずつでも給料に反映されていくことは、頑張りに報いることができる人事考課制度と給与制度の実現のためには必要になります。人事考課制度のあり方や評価の方法など全般的な見直しが前提にはなりますが、1問目で「人事考課制度をよりよい制度となるよう検討をすすめる」とご答弁いただいておりますので、その検討の中で昇給への活用についても前向きにご検討いただきますようお願いいたします。

それでは、2問目の質問として3点お伺いします。

 一点目として、人事考課結果の勤勉手当への反映状況については、1問目の答弁より、上位1.3%、中位97.7%、下位1.0%となっているようで、ほとんどの職員が中位、つまり「普通」という評価を受けているようです。しかし、実際は中位の中にも非常に頑張っていて上位と変わらない評価をされるべき職員もいると思われますし、その逆もしかりだと思います。たしかに、本市では人事考課結果の勤勉手当への反映はされていますが、この反映状況をみると、この制度の目的が十分に達成できる仕組みになっているのかという点において少し疑問が残ります。以上を踏まえ、人事考課結果の勤勉手当への反映方法については改善するべきだと考えますが、市の見解をお聞かせください。

 二点目として、人事考課制度の評価方法の見直しも必要になってくると考えます。現在は、所属のライン上の上長が評価を行っているとともに、絶対評価で評価がなされていますが、これらの点も見直すべきだと考えています。上長からは見えないことが同僚や部下からは見えていることは十分にあり得ますし、人事考課に直接活用しないにしても同僚や部下からの評価も参考として聞くべきだと思います。また、部局ごとに評価のばらつきが出ないように、部局間で評価の調整を取り入れるべき、つまり、絶対評価の相対化も必要だと考えています。評価するほうも人間ですし、やはり厳しい評価はしづらいので、どうしてもそれなりの評価をつけてしまいがちだと思います。それが結果として、中位ばかりの評価になる原因になっているとも思います。
 そこで伺いますが、人事考課制度の評価方法の見直しについてはどのように考えているのか、市の見解をお聞かせください。

 最後に三点目として、限られた人材を有効活用するために、人事考課制度を見直し、人材育成に活用していくことが今後ますます重要になってくると考えます。また、今後の社会や行政の在り方を見越して、「高槻市人材育成基本方針」について、人事考課制度とさらなる連携を視野に、抜本的に見直すことで、高槻市の行政職員として求める姿を示し、職員の人材育成につなげていく必要があると考えます。また、この見直しの際には、職員の声を丁寧に拾い、見直しに反映させていくべきとも考えます。
 そこで質問ですが、人材育成基本方針の改訂に対する見解と、人材育成や人事考課に関する職員への意向調査についてどのように考えているのか、お聞かせください。

【答弁 2回目】

 まず、人事考課結果の勤勉手当への反映方法についてですが、職員のモチベーションを高め、組織力の向上につながるよう検討してまいります

 次に、人事考課制度の評価方法についてですが、現行制度では、3名の評価者が評価をおこなうことにより、評価に偏りが生じないよう調整を行っております。評価方法の見直しは、人事考課制度全般の見直しの中で、国や他市の事例も参考にしながら、より正確に勤務実績の把握をおこない、職員の納得性の高い制度となるよう検討してまいります。

 最後に、人材育成基本方針の改訂に対する見解と職員への意向調査についてですが、改訂にあたっては、職員の能力や資質を向上させ、市民満足度のさらなる向上につなげていくため、職員に求められる職務能力を改めて示した上で、職員一人ひとりの役割や職責、キャリアプランの明確化等を図っていきたいと考えております。
また、人事考課制度の見直しにあたり、令和2年度には、若手の主査、副主幹級職員で構成される検討会を立ち上げ、制度のあり方についての意見を受けたところです。今後につきましても、アンケートなどを通じ、職員の意見を広く取り入れていきたいと考えております。

【意見・要望】

 まず、人事考課結果の勤勉手当への反映方法についてですが、今後検討していただけるとのことでした。

 やはり上位の評価を受けている職員が1%しかおらず、ほとんどが中位の評価になってしまっていることには課題があると考えます。公務に就く行政職員といえど、やはり人間ですので、全職員のうちの1%という、よっぽど優れた結果を出さない限り上位評価を受けられない評価システムは、少なくとも仕事のモチベーションには繋がりづらいですし、改善するべきではないでしょうか。例えば、現状のように3段階の分類ではなく、5段階にすることで頑張りが報われる職員が増やせるかもしれませんし、いまの3段階のままでも上位の割合を増やす仕組みも考えられます。
 先ほどの答弁にもあったように、職員のモチベーションを高め、組織力の向上につなげるためにも、今後の人事考課制度の検討の中で、勤勉手当への反映方法についてもぜひとも見直しいただきますようよろしくお願いいたします。

 続いて、人事考課制度の評価方法についてですが、職員の納得性の高い制度となるよう検討していただけるとのことでした。

 現状の所属のライン上の上長3名での評価によって偏りが生じないようにされていますが、2問目でも申し上げた通り、同僚や部下などからの評価も参考にするなど、もう少し多角的な評価方法の導入も検討していただきたいと思います。また、いまの完全な絶対評価のみですと部局間の調整は必要ありませんが、勤勉手当への反映方法の見直しや昇給への活用を行うのであれば、部局間の調整は絶対に必要になると思います。
 人事考課制度の見直しについては、総合的に検討を進めていただけるようですので、答弁にもあった通り、職員の納得性が高く、職員の頑張りを適切に評価できる評価方法の確立についても大いに期待しております。

 続いて、人材育成基本方針の改訂についても、改訂に向けて検討を進めていただけるとのことでした。この10年で地方分権の推進や職員構成の変化など、行政が置かれている状況は急速に変化してきています。あわせて、エビデンスに基づく政策立案、ICTやビックデータの活用、地方創生など、近年行政運営に求められるものも増えてきており、経済学や統計学的な知識、論理的思考力や企画力など、職員に求められる能力も変化もしくは増加してきています
 改訂にあたっては、現状のものは少し抽象的な記載が多く見受けられますので、先ほど申し上げたような行政運営の状況を踏まえて、職員に求められる能力や姿勢を方針の中に具体的に規定していき、高槻市が職員に何を求めているのかをきっちりと明示できるような人材育成基本方針にしていただくよう要望いたします。

 あわせて、人事考課制度や人材育成基本方針の見直しにあたっては、アンケートなどを通じて職員の意見を広く取り入れていきたいとの答弁もいただきましたので、より良い制度設計となるよう一般職の方も含めて、幅広くご意見を集めていただくようお願いいたします。

 

 最後になりますが、これからの限られた人材と財源のもとでの少数精鋭での行政運営のためには、行政職員の能力開発と高いモチベーションが必須になります。

 上のほうで決められたことをやる、という姿勢ではなく、自分たちが高槻市を引っ張っていくのだ、という前向きで積極的な姿勢を引き出し、やりがいと誇りを一人ひとりの職員に持っていただけるような環境を創った先に、最終的には市民サービスの向上と高槻市のさらなる発展が実現していくのではないかと考えています

 その実現のために、本日は、人事考課制度と給与制度の改正と、それらにひもづく人材育成基本方針の改訂について様々意見と要望を申し上げてまいりましたが、具体的にはまだ決まっていない中でも、方向性としては前向きなご答弁を多数いただきました。

 市民サービスの向上と高槻市のさらなる発展につながる、適切な評価と処遇によってやりがいを引き出し、職員の頑張りに報いることができる人事考課制度と給与制度を構築いただけることを大いに期待しております。

令和3年第3回定例会より

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