活動報告

会派視察報告1日目(送迎保育ステーション)@千葉県松戸市

投稿日 2017年7月7日

 7月4日(火)、5日(水)の2日間にかけて、会派視察に行ってきました。

 1日目の千葉県松戸市の「送迎保育ステーション」は、僕がかねてより調査研究をしたいと思っていたテーマでして、会派の議員の承諾もいただき、今回ようやく視察に伺うことができました。

 今回の視察において一番印象に残ったことは、松戸市の待機児童(入所保留児童)に対する取り組みへの姿勢です。
 一般的には、厚生労働省基準の待機児童をゼロにすることを目標にしており、本市でも待機児童ゼロは3年連続で達成しています。しかし、松戸市では待機児童のみならず、入所保留児童の解消まで視野にいれ、小規模保育施設の整備や送迎保育ステーションを実施しています。実際に、数年前までは入所保留児童が460人もいたようですが、平成29年度には85人まで減らすことができたようです。
 このように、待機児童という厚生労働省基準の「数字」ではなく、保護者や児童の「実態」の課題を解消しようとする姿勢は、本市でも十分に参考にすべきものだと思います。

送迎保育ステーションについては、以前より高槻市の待機児童や入所保留児童の状況を地域別に分析し、導入を検討していくべきだと考えています。高槻市は市域が南北に長い一方で、鉄道が中心部を東西にしか走っておらず駅数も少ないため、送迎保育ステーション導入の効果が十分に見込めるからです。具体的には①JR高槻駅・阪急高槻市駅エリア、②JR摂津富田駅・阪急富田駅エリアの2箇所にステーションを整備することで、駅を利用して通勤をする保護者をほとんどカバーすることができます。

 本市における送迎保育ステーションの効果を検討するためには、①待機児童と入所保留児童の地域ごとの状況 ②保護者の通勤状況(駅の利用状況)③入所保留児童の理由の整理などの分析を行う必要がありますが、今回の視察を高槻市に活かすためにも、今後担当課とともに調査を深めながら、具体的に導入の効果検証と提案を行なっていきたいと思います!

 以下、1日目「送迎保育ステーション」の視察内容詳細です。
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① 事業概要

<名称>
松戸市送迎保育ステーション事業 アクセプト松戸ステーション
※アクセス+コンセプト=アクセプト(受容する、先駆性を持ち受け止める)

<目的>
居住地と保育園及び幼稚園が離れている又は開所時間が保護者の勤務時間と合わない等の理由により、保育園及び幼稚園の利用が困難となる者に対し、送迎保育ステーションを設置し、指定された送迎先の保育園及び幼稚園が開所するまでの間、児童を保育するとともに、送迎保育ステーションから市内における複数の送迎先の保育園及び幼稚園に送迎を行うことで、保育園及び幼稚園を利用できる環境を整備し、市内の待機児童の解消及び児童の送迎に係る保護者の負担の軽減を図ることを目的とする。

<事業開始日>
平成27年10月1日(木)

<委託事業者及び送迎先の保育園及び幼稚園>
委託事業者 :社会福祉法人 さわらび福祉会
送迎先 :5箇所(和名ヶ谷ひまわり保育園、桜花保育園、高塚幼稚園など)

<対象児童>
市内の保育園または幼稚園に入園を希望している、又は既に入園している3歳児クラスから就学前クラスの児童
※3歳時以上の理由:安全面を考慮し、1人でバスに乗れる年齢であるから。

<利用料>
月額利用料2,000円 / 一時的利用料200円(1日) ※非課税世帯や生活保護受給世帯は利用料は無料。

 

② 事業開始の背景

待機児童はゼロであったが、入所保留児童が市域西部に多い一方、東部(東松戸方面)に少ないという、入所保留児童の地域偏在が課題であった。・西部:松戸方面 23.5%/新松戸方面 22.4%/馬橋方面 5.9%・東部:東松戸方面 3.5% また、市内西部に保育所を整備しようにも、土地確保が難しくこれ以上施設整備が厳しい状況であった一方、東松戸方面は開発がそれほど進んでいなかったため比較的保育園整備が行いやすかった(平成24年~28年までの5年間で東松戸方面において7施設の整備)そこで、西部地域に送迎保育ステーションを設置し、東部の東松戸方面の保育園及び幼稚園への送迎事業を開始した。

③ 待機児童・入所保留児童の状況(平成29年度)

・待機児童 :0名(平成28年度から2年連続)
・入所保留児童 :85名
入所保留児童については、平成26年度には460名もいたが、3年間で小規模保育施設を38園整備したことに加え、送迎保育ステーションを実施したことでかなり減らすことができている。

④ 事業イメージ

1.7:00~8:15  送迎保育ステーションでの保育(バスの出発時間まで)
2.8:15~8:45  バスでの移動
3.8:45~16:00  各受入施設での保育・教育時間
4.16:00~16:45  バスでの移動
5.16:30~19:00  送迎保育ステーションでの保育(保護者の迎え時間まで)

「3」の保育・教育時間のみ各受入施設の責任範囲であり、残りはすべて、委託事業者が保育やバスでの送迎まで行っている。送迎バスは委託事業者がリースで借りており、運転手や付き添いの保育士2名も委託事業者が確保している。(バス定員:幼児25名、保育士2名、運転手1名)。日々体調や伝達事項を各園に丁寧に説明するよう徹底している。
※保護者と園の関係構築のために、週1回は保護者が園に送り迎えするよう、保護者には事業利用開始時にお願いしている。保護者も園の様子を知りたいため、基本的に週1回の送り迎えを行っている。

⑤ バスの経路

送迎保育ステーション → 和名ヶ谷ひまわり保育園 → 桜花保育園 → ・・・というように、1つのバスで各園を周回している。
※各園とのピストン送迎にすると、バスや運転手の確保で費用が多くかかる。一方、先進自治体の流山市は、数台のバスで市内全域に放射状に送迎しているとのこと。

 

⑥ 送迎保育ステーション利用児童数の推移

平成27年10月1日時点 : 9名(3歳児5名、4歳児2名、5歳児2名)
平成29年7月1日時点  : 16名(3歳児1名、4歳児5名、5歳児10名)

⑦ 事業の課題と今後の展開

1. 区画整理事業によりマンション開発が進んでおり、送迎先である東松戸方面の保育園の定員が埋まってきている。そのため、送迎先の保育園の空きがなくなりつつあり、今後送迎保育ステーションを利用しての入園が難しくなる可能性がある。
→定員に空きが出てきそうな他地域への送迎先の拡大を検討している。

2. 送迎保育ステーションの日中の活用がこれまでされておらず、施設を遊ばせてしまっていた。
→今年度より施設での一時預かり事業を開始し、日中の活用を始めた。

3. 送迎先としての保育園の受け皿が不足してきている。
→平成28年より預かり保育を行う幼稚園も国庫補助の対象とされたため、幼稚園を指定園として拡大していき、受け皿を増やしていく。

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