活動報告

【市政報告10号記事④】市民通報システムの導入

投稿日 2021年8月14日

【質問 1回目】

 これまでの市民通報は、道路に穴があいている、公園の遊具が破損しているといったふぐあいに市民の方が気づいたとしても、それを市役所職員に伝える方法は、電話もしくは直接市役所窓口に行くことが主な手段でありました。これでは伝えたい情報があっても伝える時間がなかったり、手間が面倒であったりして諦めてしまっている市民の方がいることが想像されます。
 一方で、行政側としては、電話などでの通報の場合、該当箇所を聞き取るために、ある程度のやりとりが必要であるため、職員の時間をどうしてもとられてしまっていました。そこで、近年各地の自治体で導入が進んできたのが、市民通報システムというものです。

 この市民通報システムとは、市民の皆さんが見つけた市内の道路の舗装や側溝のふぐあい、カーブミラーの破損箇所、ごみの不法投棄、公園の遊具や施設の破損等をスマホなどを使って写真を撮影し、その写真とGPS機能による位置情報を送信することで、ふぐあい状況や住所を迅速に把握することができるシステムのことです。

 市民通報システムを導入することで、行政の効率性が高まることに加え、市民の利便性が高まることで、市内のふぐあいをチェックする目をふやすことにつながり、まさしく市民協働のまちづくりを実現できます。このことからも、市民通報システムを導入する自治体が年々増加してきており、本市においても市民通報システムの導入を検討していただきたいと考えております。そこで、1問目として、市民通報の現状などについて3点お伺いします。

 1点目として、市民通報にかかわることが多いと思われる道路課、管理課、公園課、下水河川事業課、環境政策課、農林緑政課に寄せられた昨年度の通報件数と通報手段についてお答えください。

 2点目として、市民通報以外にも、職員のパトロールによってもふぐあいを調査されているかと思いますが、職員パトロールの内容や頻度についてお答えください。

 3点目として、昨年度は大阪府北部地震や台風21号など、大きな災害に見舞われました。災害時には市民通報も非常に多くなることが予想されますが、昨年度の地震と台風時の通報件数や手段について、お答えください。

【答弁 1回目】

 1点目の昨年度の通報件数等についてでございますが、道路課は4,280件、管理課は801件、公園課は1,760件、下水河川事業課は1,304件、環境政策課は80件、農林緑政課は212件、合計8,437件となっており、その通報手段は電話や窓口での対応が主なものでございます。

 2点目の職員パトロールについてですが、舗装のめくれ等の道路不全の発生が多い箇所や、交通量が多い路線を中心とした道路定期パトロールを月2回町なかの放置自転車パトロールは週に2回から3回水防ため池パトロール、土砂パトロール、準用河川及び河川パトロールを年1回公害パトロールを月2回林道の定期パトロールを年3回実施してございます。

 3点目の災害時の通報件数等についてですが、昨年度は地震関係で991件、台風関係で880件、合計1,871件の通報があり、そのほとんどが電話によるものでございます。

【質問 2回目】

 1問目の答弁より、昨年度の通報件数は、道路課で4,280件、公園課で1,760件など、主な市民通報先の合計は8,437件、主に電話や窓口対応が通報手段であるとのことでした。また、災害時の通報件数では、地震が991件、台風880件で合計1,871件、主に電話による通報であったとのことで、本市の市民通報の状況は理解いたしました。非常に件数も多く、市民通報システムの導入により効率化を進めることで、この行政コストを下げることが期待されるとわかりました。

 そこで、他市で導入されている市民通報システムの調査のために、先日、会派視察で町田市のほうへ視察に行ってまいりました。町田市では市民の利便性向上とコスト削減を目的に、2018年4月1日から市民通報アプリを配信されました。
 導入の効果としては、これまでの電話や来庁などの対話型の通報対応と比較すると大幅に対応時間が短縮し、人件費の削減効果があったようです。また、通報件数も約10%ほど増加し、これまでの電話などでは拾えていなかった声も拾えているそうです。さらに、電話や窓口対応の件数も減少し、アプリからの通報に徐々に移行している状況であるとのことです。これは市民通報システムの導入によって、電話や来庁より、通報するハードルが下がったことが寄与していると考えられます。さらに、町田市の規模では、システム使用料等で月額11万円で運用できているとのことでした。

 以上、町田市を視察した印象としましては、導入しない手はないかなと感じたのが率直なところです。町田市の試算では、導入から2年で既に費用分のコストカットを実現できており、費用面でも問題を感じなかったですし、何より通報件数の増加とふぐあい対応の迅速化といった市民サービスの向上と市民協働のまちづくりの実現が魅力的だと感じました。

 さらに、本市の定期パトロールも、件数が一番多い道路課関係で月に2回程度と数も少なく、全ての市域を回れるわけではないため、市民の利便性を高め、通報件数をふやすことは、市域の安全確保にも効果的でございます。これは災害時にはより一層効果を発揮することが見込まれ、災害時に一気に数百件規模で電話での通報が来ても対応し切れないため、市民からのふぐあい箇所の写真と位置情報をいただくことで、優先順位を判断することが可能になり、迅速かつ効率的にふぐあい対応に取りかかることができます

 以上のことからも、高槻市においても市民がさまざまな場面で市に対して通報することができるよう、全庁横断的な検討を進めていただきたいと考えています。

 福岡市など、幾つかの自治体では、その全庁的な取り組みとして、LINEの公式アカウントを活用し、市民から市に対する市民通報システムに加えて、反対にイベント情報や子育て情報、ごみ収集情報など、市から市民への情報発信を、LINEのプラットホーム上で行っています。これはSNSの双方向性を活用したもので、さらにLINEという利用者が既に多数いるプラットホームを利用することで、市民の利便性を高めています。加えて、災害時には災害モードに切りかわることで、必要情報をプッシュ式で情報発信することを実現しています。

 このように、LINEの公式アカウントを、日常は市からの情報発信ツールとして活用することで市民利用を促進し、反対に、市民からは道路等のふぐあいはもちろんのこと、いじめ相談や虐待相談、粗大ごみの受け付け・回収など、受付窓口として活用する仕組みが市民との協働のまちづくりにおいて効果的になると考えますが、市の見解をお答えください。

【答弁 2回目】

 まず、ICTを活用した市民から市への情報提供についてでございますが、現在、本市ではホームページでの提案の広場において、市民の皆様からのさまざまな情報提供やご意見をいただいております。
 また、SNSを活用した情報発信につきましては、防災ツイッターや、はにたんフェイスブック等、目的を限定した活用を行っているところです。

 議員仰せのLINEのような高い普及率を有するSNSを情報発信等のツールとして活用することは、市民にとってメリットのあるものと認識いたしておりますが、導入に当たっては、ホームページ等の既存媒体も含め、運用体制の見直しなどについても検討が必要になるものと考えております。今後、他の自治体の事例も参考としながら、市民にとってより情報を提供しやすく、受け取りやすい環境を整えることのできるよう、SNS等のICT技術活用について調査研究を進めてまいります

【意見・要望】

 現状では、ホームページやツイッターなど、さまざまな媒体の運用面での課題もあり、すぐの導入は厳しいようですが、市民にとってメリットのあるものだという認識はいただいているようです。

 私も実際に幾つかの自治体のLINE公式アカウントと友達登録をして使ってみましたが、とても使いやすく、これなら負担も少なく、何か問題に気づいたときに気軽に通報できそうだと感じました。何よりLINEという既にほとんどのスマホユーザーが持っていて、使いなれているアプリで、行政と市民が情報を発信し合える関係を構築できるということが魅力的だと感じました。また、通報システムなどで平常時にLINEでつながっていることができれば、災害時の情報発信の際にも、プッシュ式で情報を届けることが非常に有用性が高いと思います。

 市民通報システムを単独で導入することでも十分に効果が見込めますが、こういったLINE公式アカウントのような全庁的な取り組みの中で検討していくほうが、さらに効果が見込めるのではないかと考えています。ただ、現状では導入が難しいようなので、今後のホームページの運用体制の見直しの際に、あわせて総合戦略部、都市創造部、街にぎわい部といった関係部署の庁内横断的なチームで市民通報システムについても検討を進めていただくことをお願いいたします。

令和元年第5回定例会(12月16日)議事録より引用

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