活動報告

一般質問(情報システム最適化・再構築計画)

投稿日 2017年12月25日

先日開催された議会だより編集委員会で、私が行った一般質問の1つ、「校務支援システムについて」が掲載する質問に選ばれました。
3ヶ月に1回のペースで議会だより(市議会広報)は発行されていて、その中に載せる一般質問を議員で構成する委員メンバーが5つだけ選ぶのですが、そこに選んでいただいた次第です。

これで市議会議員に就任以来行ってきた8回の一般質問のうち7回選出されたことになります。
議員の中で「竹中の質問は良いんじゃないか」と一定の評価をいただけている証でもありますし大変光栄に思います!

そこで、今回はその選んでいただいた質問ではないほうですが、12月議会一般質問の1つ目である「情報システム最適化・再構築計画」の全文をご紹介します。

長くなるので、簡単に質問の概要を。

——-

▼昨年6月に「ITガバナンスの強化・確立」というテーマで行った一般質問の続き。

▼高槻市役所では、膨大な情報システムを利用しているが、経費の増大などが課題となっている。その課題解消のために「情報システムにおける組織的な統制体制」や、「効率的・効果的な情報システム導入の仕組み」などが必要であると考えており、そのために一般質問を行った。

▼各課で各々調達している情報システムは、サーバの能力が業務量に見合っておらず、無駄な経費がかかっている恐れがある。そこで、「クラウドを利用したサーバ統合」を行うことで、経費削減に努めてほしい。
→市の試算によると、10年間で2億円もの経費削減が見込まれている。さらに、今後新規で導入する情報システムについては原則このクラウドサーバを利用する予定であるため、更なる経費削減が見込める。さらに、サーバの稼働状況を見ながら適宜サーバを増設・縮減することで最適なサーバ利用を実現し、これも経費削減につながる。
→クラウドサーバ利用が適さないシステムについても、経費削減や全庁的なシステム管理のためにも、現状のように各課で各々サーバの管理をするのではなく、IT政策課が管理する空調など環境の整ったマシン室で管理するように要望。

▼前回の一般質問では、全庁のIT資産を管理するための「システム台帳」の整備や、情報システムの導入に係る手順などを標準化するための「IT調達ガイドライン」の策定、IT政策課による情報システム導入時のフォロー体制の確立などを提案。
→これらの内容については鋭意取り組んでいるとのことであり、かなり前進していることを評価。
→しかし、フォロー体制については、システム内容の精査だけでなく、見積もりまで専門的な立場からチェックをするべきであり、その徹底を要望。
→さらに、情報化施策である「e-たかつき計画」については、現状の情報システムの導入に係る部分の計画ではなく、「情報化施策全般の最上位計画」として見直し、その更新期間も短くすること。そして、その計画の推進体制を組織的に整備することを要望し、これらについても今後取り組んでいくとの答弁。

——-

どれも非常に前向きな答弁をいただき、今後に期待できる結果となりました!

私も議員ですから、住民サービスに直接的に関わる分野(例:待機児童解消など)のほうが市民に注目されることはわかっています。しかし、今回の質問のような地味でも今後長期間に渡って効果のある施策も、それらに負けじ劣らず重要です。

派手で突飛な政策ではなくても、当たり前のことを当たり前にしていくだけで、今回のように目に見える結果としても2億円の経費削減になりますし、なによりそういう文化を市役所に根付かせていければ、必ず市政は良くなると確信しています。

では、以下情報システム最適化・再構築計画の全文です。

========================

<1問目>

 自治体では、行政事務や住民への行政サービスなどあらゆる分野でシステム導入をおこない情報化を進める一方で、IT 関連の経費の増大が課題となっています。人口減少社会の中で持続可能な行政運営を続けていくためには、情報システムにおける組織的な統制体制や、効率的・効果的な情報システム導入の仕組みなどが必要だと考えています。
 そこで、昨年6月にこの件について一般質問いたしました。その際、「必要性は十分に認識しており今後検討していく」といった答弁があり、その後の取り組みに非常に期待をしておりましたので、まず1問目はその検討の進捗状況を伺ってまいります。

 ① 前回の一般質問のあと、昨年12 月に策定されました「情報シス情報システム最適化・再構築計画」では、本市の情報システムにかかる課題や今後の方針などが明記されました。本市では全庁で非常に多くの情報システムを利用していますが、それらは原課で各々調達し、更新・保守を行ってきたものが多いため様々な課題が発生しています。それらの課題を解決するためにこの計画が策定されたものだと認識しておりますが、あらためて、情報システム最適化・再構築計画の目的や計画策定の背景についてお聞かせください。

 ② 続いて、この計画では4つの方針が示されていますが、そのうち「共通基盤構築」と「ホストコンピュータシステム再構築の検討」の2つについては、平成31年度から検討を始めるということが示されていますので、今回の一般質問では残りの2つ「クラウドを利用したサーバ統合」と「IT ガバナンスの強化」について伺います。
そこで、まず「クラウドを利用したサーバ統合」についてですが、その内容や対象システム数、及び想定効果額についてお聞かせください。

 ③ 次に、「IT ガバナンスの強化」についてですが、こちらは昨年6月の一般質問において、「全庁で利用されている情報システムの基礎情報をまとめた情報システム台帳の整備」や「システム調達における手順や事務手続きの標準化を行うための情報システム調達ガイドラインの策定」などを、質問を通してご提案いたしました。
 そこで、この1年間ほどで取り組んでこられたIT ガバナンスの強化の内容についてお聞かせください。

 

<1問目_答弁>

 まず1点目の計画の目的についてのお尋ねですが、全庁的に情報システムを、より効率的・効果的に導入・運用し、IT関連の経常経費の長期的な削減を図ろうとするものです。
 計画策定の背景といたしまして、高槻市には現在非常に多くのシステムが導入されており、システム毎の機器更新コストや保守コストが増大しているとともに、各課のサーバ設置による執務スペースの狭隘化などといった課題がございます。これらの課題を解決するため、平成28年12月に「高槻市情報システム最適化・再構築計画の方針」を策定したものでございます。

 2点目のクラウドを利用したサーバ統合についてのお尋ねでございますが、先ほどご説明いたしました各課に設置されている多数のサーバ機器を、クラウドサービスを利用して段階的に統合しようとするもので、仮に約20システムをクラウド化すれば、10年間で約2億円の経費削減効果が見込まれます。

 3点目のITガバナンス強化の取り組みについてのお尋ねですが、新たなシステムの導入においては、各課にシステム概要、費用対効果、開発スケジュール、経費、導入機器の明細を記載した電算化調査表の提出を徹底し、内容の精査に取り組んでおります。
また、全庁のIT資産を管理するための「システム台帳」の整備や、「IT調達ガイドライン」の策定などにつきましても、現在鋭意取組んでいるところでございます。

 

<2問目>

 先ほどの答弁より、本市におけるIT 関連の経常経費の増大などの課題がわかりました。この計画は、濱田市長が進め「みらいのための経営革新」の方針にも合致しますし、なにより、住民サービスを削減するような改革ではなく、無駄なものをなくし効率的に情報システムを運用することを目的とするものですので、高槻市にとってはメリットしかありません。ぜひとも引き続きこの計画の着実かつ迅速な遂行をお願いいたします。そこで、1問目に続けて、より具体的な内容を確認してまいります。

 1問目でクラウドサービスの仮想化基盤にサーバを統合していく内容やその効果について確認いたしました。本市では原課がおのおの物理サーバを調達し、情報システムを利用しているため、サーバの能力が業務量に見合っておらず、非効率な運用をしてしまっていることが想定されます。その非効率な運用を、クラウドサーバを利用することで解決を目指すこの取組については非常に期待ができます。また、具体的な経費削減効果としても、10 年間で約2 億円もの経常費用の削減が見込まれていることからも、この取組の有用性が伺えます。そこで2 点質問いたします。

 ① まず今後各課でシステム導入を行う際は、クラウドサーバ上の仮想化基盤を基本的に利用していくべきであると考えますが、本市の考えをお聞かせください。

 ② 2 点目ですが、経費の適正化においては、今までのようにCPU稼働率などのサーバの稼働状況がチェックできないとどれだけ無駄が発生しているのかの確認ができず、最適な運用を実現することができません。今後はクラウドサーバの利用によって、サーバ稼働率のチェックは可能になるのでしょうか。
 また、クラウドサーバの利点として、稼働状況にあわせて適宜サーバを増設・縮減できることがあげられると思いますが、本市でもそういった運用を行えるようになるのかあわせてお答えください。

 続きまして、IT ガバナンスの強化についてですが、前回の一般質問でご提案いたしました「システム台帳」の整備や、「IT調達ガイドライン」の策定などに鋭意取り組んでいただいているということでした。このことについては非常に評価しております。全国的に自治体の情報化が進んでおり、本市においても、今後さらなる情報システムの導入が想定されます。その中で、これらの取組はその根幹を担う部分になりますし、IT ガバナンス強化のためには非常に良い取組だと思いますので、ぜひとも早急な整備を要望いたします。
 そこで、さらなるIT ガバナンスの強化のために、大きく2 点質問させていただきます。

 ① 1点目は、IT 政策課の各課へのフォロー体制についてです。
 1問目の答弁によると、本市では、IT 政策課はシステム導入の際には電算化調査票の提出を徹底させ、内容の精査に取り組んでいるということでした。昨年の一般質問では、相談があれば適宜助言を行うという状況でしたので、フォロー体制の整備の前進を感じております。
 現在は来年度の予算編成時期であり、各課からもシステム導入の話もあがっているはずです。IT 政策課はシステムの内容が適正かどうかの確認にとどまらず、専門的立場から見積内容の精査まで行うべきだと考えています。このあたりのIT 政策課のフォロー体制について、現状を詳しくお聞かせください。

 ② 2点目は、本市の情報化施策に関する計画である「e‐たかつき計画」の見直しと情報化施策推進のための組織体制の整備についてです。
 e‐たかつき計画は、平成30 年度までの計画であり、来年度には見直しの検討に入るとされています。そこでその見直しにあたっては、現在のようなシステム整備に関する計画ではなく、「情報化施策全般の最上位計画」にしていただくこと。あわせて、近年の情報技術の進展はめざましいものがあるため、この計画の更新は現状の5 年間ではなく、2~3 年の更新スパンにするべきだと考えます。
 さらに、本市では副市長が担われているCIO、「最高情報統括責任者」についても、現在のように情報セキュリティに関する統括的な役割だけでなく、情報化施策全般の統括者としての役割を情報化計画の中で定義し、そのCIO を筆頭とした情報化施策推進体制を整備するべきだと考えます。これらについての市の考えをお聞かせください。

 

<2問目_答弁>

 1点目の今後新たにシステム導入を行う場合についてのお尋ねですが、データ量が多く回線に負荷がかかるなどの理由でクラウド利用が適さないと思われる一部のシステムを除き、原則クラウドの仮想基盤またはASPサービスを利用する方針でございます。

 2点目のサーバの稼働率についてのお尋ねでございますが、クラウドを利用することにより、システムごとの稼働率やハードディスクの利用率がIT政策課で一括して把握できるようになり、その稼働率に応じて、システムごとに最適な処理能力や容量にサーバ増設・縮小が可能になると考えております。

 3点目のシステム導入におけるIT政策課の支援体制でございますが、毎年4月に、
「次年度の情報システムの動向に関する調査」を行い、全庁的なシステムの今後の動向について把握を行った上で、各課から情報システムに関する相談があれば助言を行っております。その結果、新たに次年度に導入しようとするシステムについては、電算化調査表をもとに、IT政策課が所管課と事前協議・調整を行い、システム導入についての意見を付して、予算査定の資料にしております。
 また、システム導入や大規模な改修に係る見積についても、IT政策課が内容や経費について精査を行っております。

 4点目の「e-たかつき計画」についてのお尋ねでございますが、現在の3期計画が平成26年度から30年度までの5年間の情報システム導入計画であることから、次期計画の策定にあたっては社会情勢の変化やITのめざましい技術革新に対応できるよう、情報化計画の見直しサイクルについて検討を行ってまいります。
 さらに、CIOの役割や組織体制の整備も含め、31年度からの新たな高槻市情報化計画を策定してまいりたいと考えております。

 

<意見・要望>

 まず、情報システム最適化・再構築計画についてですが、先ほどの答弁により、今後のシステム導入はクラウドサーバの利用を基本とすること、そして、適宜増設・縮減することにより最適なサーバ利用が可能になることがわかりました。これらは今までの本市のシステム整備の状況からすると、かなりの前進だと思います。現在想定している約20 システムだけでも、10 年間で約2億円の削減効果があり、今後導入されるシステムの削減分まで考慮すると、計り知れない効果が見込まれます。国のほうでも、自治体クラウドをはじめ、クラウドサーバの利用を推進していますので、本市でも徹底してクラウド化を進めることで、効果的・効率的なシステム運用を実現していただくようお願いいたします。
 さらに、各課で物理サーバを設置している現状は、執務スペースの狭隘化にもつながっていますし、サーバの適切な管理のためにも良い環境ではありません。クラウドサーバが向かないシステムにしても、IT 政策課が管理する空調などの環境が整ったマシン室にサーバを移設することが望ましいと考えますので、今後の取組として検討していただくようお願いいたします。

 また、IT ガバナンスの強化については、1 問目のシステム台帳や調達ガイドラインの整備、2 問目のIT 政策課による予算査定へのチェック体制や見積の精査、e‐たかつき計画の見直しやその推進体制の整備など、どれも非常に前向きな答弁をいただきました。これまでお話いただいた内容を着実に実行していただければ、必ず情報システムに係る本市の能力の底上げになりますので、これらについての引き続きの迅速な対応をお願いいたします。

 そこで、IT ガバナンスの強化に向けて、質問はしませんでしたが一点要望いたします。それは、IT に関する専門的な知識と能力を持つ人材確保についてです。本市のIT ガバナンスの強化のためには、IT 政策課の能力向上が必須であり、それはIT 政策課職員の人材配置と育成にかかっているといえます。
 本年の職員採用試験の実施状況を見たところ、基本情報技術者等の資格を持った事務系職員を、一般事務職とは別枠で2 名募集されていました。事務職といえども、ある意味、土木や建築の技術職と同じく専門の知識と能力が必要とされる分野ですので、これは非常に良い取組だと思います。この2 名の職員配置については、IT ガバナンス強化のための効果的な人材配置をご検討いただくようお願いいたします。
 また、IT 政策課は事務系職員で構成されていますが、他の課と比べて専門的な知識を必要とする組織でありますので、一般的なローテーションのように数年で人材を異動させるのではなく、長期的に人材育成することが必要だと思います。これまでも配慮がなされてきているとは思いますが、引き続きIT 政策課においては、専門的な人材育成の観点を持った職員ローテーションを実施していただくようお願いいたします。

ページの先頭へ