活動報告

待機児童問題に全力で取り組みます!(2019年6月議会一般質問)

投稿日 2019年7月25日

先日の6月議会において一般質問に登壇しました!テーマは「潜在的な待機児童の解消に向けて」です。

高槻市は2014年度から待機児童ゼロを達成しており、取り組みについては一定評価しています。
しかし、潜在的な待機児童、いわゆる「隠れ待機児童」の存在が問題となっています。

「子育てしやすいまち」を目指す高槻市にとっては、ほうってはおけない問題です。
いま実際に子育てをしている私だからこそ、当事者意識と責任感を持って、この問題の解決に全力で取り組んでいきます!

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<目次>

①なぜ隠れ待機児童が発生してしまうのか。

②隠れ待機児童の実態を知る。

③保育ニーズの今後の見込みは。

④公立幼稚園の認定こども園化の推進を。

⑤新しい発想で待機児童問題を解決へ。

⑥人生に関わる問題だからこそ。
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では、順を追って説明していきます。

①なぜ隠れ待機児童が発生してしまうのか。

まず、待機児童とは「保育施設に入所申請をしているにもかかわらず入所できず、入所待ちしている(待機)状態の児童」を指します。

では、利用保留児童、いわゆる『隠れ待機児童』とはどういった児童を指すのでしょうか。

利用保留児童とは、待機児童から「育児休業取得者」や「特定保育園のみの申込者」といった一定の除外要件を満たす児童を除いた児童のことを指します。

詳細には以下の表をご覧いただければわかりやすいかと思います。

【図1】平成27年度から平成31年度までの待機児童・利用保留児童などの推移

↑画像をクリックしていただければ表示が大きくなります。

要は、「利用保留児童」−「待機児童から除外できる児童」=「待機児童」です。

本来待機児童を呼ばれる児童からいくつかの要件を満たす児童が除かれており、高槻市においては「待機児童ゼロ」となっているのです。

上記の表をご覧いただければわかるのですが、特に高槻市においては、「特定保育園のみの申込者など」という分類に多くの児童が含まれていることがわかるかと思います。
この要件には、文字通り1つの園のみに申し込んでいるような児童も含まれますが、「登園するのに無理がない」という分類の児童が多くいます。

ここが少しやっかいでして、「登園するのに無理がない」とはどのような児童を指すのでしょうか。

厚生労働省の基準では、少し長くなりますが、

通常の交通手段により、自宅から20~30分未満で登園が可能など、地域における地理的な要因や通常の交通手段の違い等を考慮した上で、通勤時間、通勤経路等を踏まえて判断する。

とされています。

つまり、「各家庭の交通手段の違いや通勤経路等を踏まえた上で、入園できる保育施設があるのに入らないと判断するのなら、待機児童からは除きますよ」という意味の要件です。
すべての家庭の完全な希望を聞くことは現実的に厳しい中で、入園可能な園があるなら待機児童から除かれるという趣旨は理解できます。

しかし、ここで問題なのが、この要件の運用はすべて各自治体に任されている、ということです。

そのため高槻市では、市内全域の保育施設を「登園するのに無理がない」という要件で運用しており、市内どこかの保育施設で年齢ごとに1つでも空きがあれば、待機児童から除き、隠れ待機児童として扱っているのです。

例えば、このような場合も考えられます。

市内の北から南、自転車で約50分かかるような場所の保育施設でも、通える保育施設だとします。さらに、通勤時間や通勤経路は考慮されていませんので、駅から大阪市内に通勤しているような家庭でも、駅を越えて市内最南端まで登園することができるとされています。
これらの児童を本当に「隠れ待機児童」と呼んでしまっていいのでしょうか。

私はこの運用基準は非常に問題であると考え、見直すよう訴えてきました。ですが、いまだ実現には至っていません。(力不足を痛感しています…。)

これが高槻市における「待機児童ゼロ」の真実です。

このように「隠れ待機児童」とされている児童も、実際のところは待機児童とほぼ同義である児童も多く含まれていることは明らかです。

では、次はその隠れ待機児童の実態はどのようになっているのか見ていきたいと思います。

②隠れ待機児童の実態を知る。

高槻市は厚生労働省基準では、2014年度から待機児童ゼロを達成しています。

そこで、まずは大阪府下43市町村の待機児童数のランキングをご覧ください。

【図2】待機児童数ランキング(大阪府下43市町村比較/2018年4月1日時点)
   
↑詳細データは右側の表の画像をクリックしてください 。

このように大阪府下で23位(以下同率)なので、一見すると待機児童の問題があまりないように見えてしまいます。
ですが、実際は先ほどご説明させていただいた通り、隠れ待機児童は多く存在しています。

それでは、次は大阪府下での隠れ待機児童のランキングを見てみましょう。

単純に人数で比較すると、大阪市のように母数が多い自治体が上位にきます。そこで、本当の実態をつかむために「申込者数に対する隠れ待機児童数の割合」を見ることで、どれだけの保育ニーズに対し、どれだけ保育を供給できているのかを見てみたいと思います。

以下の表をご覧ください。

【図3】隠れ待機児童割合のランキング(大阪府下43市町村比較/2018年4月1日時点)
     
↑詳細データは右側の表の画像をクリックしてください 。

ご覧の通り、隠れ待機児童の割合が「大阪府下で3番目に高い」ということがわかりました。その割合は約8%です。

「待機児童ゼロ」だと問題があまりないように思えますが、実際のところは「大阪府下でも隠れ待機児童が多く存在し、待機児童問題が大きいまち」であることがわかっていただけたかと思います。

だからこそ私は、「隠れ待機児童」と呼ばれる児童のうち、特に高槻市の独自基準によって待機児童から除外されている児童を含めて、待機児童問題の解決に向けて全力で取り組むべきだと考えており、この問題を議会で何度も取り上げています。

では、次に今後の保育ニーズの見込みを見ることで、今後どれだけの保育を供給しなければならないかと考えていきたいと思います。

③保育ニーズの今後の見込みは。

2019年10月から始まる予定の「幼児教育・保育の無償化」の影響もあり、今後も保育ニーズが増大することが予測されています。

具体的には、次期「高槻市子ども・子育て支援事業計画」において、2020年には7,468人の申込者数が見込まれています。
以下のグラフをご覧ください。

【図4】保育ニーズの実績と今後の見込み(2015年〜2020年)

年々保育ニーズが増加していることがおわかりいただけるかと思います。
高槻市も保育の供給量を増やしていることはたしかですが、保育ニーズの増大に対応することができていません。

来年度には現在の保育利用者数をそのままスライドしたとすると、約1,000人の隠れ待機児童が発生する可能性があります。
(ただし、2020年にはいくつかの認定こども園が開園される予定ですので、実際にはもう少し利用できる児童数は増えます。)

次期「高槻市子ども・子育て支援事業計画」は5年間の計画で2020年〜2024年までの計画となっており、最終年度の2024年には6,946人の申込者数が見込まれています。

※参考:令和元年度第1回高槻市子ども・子育て会議 資料
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/120/siryou%202.pdf

つまり、最大で1,000人、少なくとも500人程度は、あと5年以内に(しかも、早急に!)保育施設を整備しなければならないと考えています。

④公立幼稚園の認定こども園化の推進を。

しかし、将来的な児童数の減少や保育士不足の問題もあり、単純に保育園を新しく作っていくことができないのが現状の課題です。

そこで、私は「公立幼稚園の認定こども園化を急ぎ進めるべき」だと提案しています。

その理由は「公立幼稚園の入園児童数が非常に少ないこと」と「保育士不足にも対応できること」の2点です。

それでは、まず公立幼稚園の最新状況を見てみましょう。

【図5】公立幼稚園の定員数・入園数データ/職員配置状況(2019年6月1日時点)
   
↑詳細データは右側の表の画像をクリックしてください 。

定員数に対し、約27%しか入園者がいないことがわかります。

高槻市は人口急増期に公立幼稚園を増設していったのですが、その後私立幼稚園が充実してきたことと保育ニーズの増加、また、3歳児保育を実施していないことなどが理由で、年々公立幼稚園のニーズは減少しています。

さらに、今年10月から始まる予定の「幼児教育・保育の無償化」の影響もあり、「公立幼稚園の希望者は今後も減少する可能性が高いと認識しております」との答弁もあり、今後の公立幼稚園のあり方が問われています。

加えて、公立幼稚園に配置されている幼稚園教諭の正規職員(園長等含む)は、ほぼ全員が保育士資格を所持しています。しかし、1クラスしかないような幼稚園でも、最低でも園長と担任の正規職員の2名を現状は配置しています。
幼稚園の認定こども園化を進めれば、これらの教諭を保育士として認定こども園に配置することが可能になり、保育士確保にもつながります。

以上「公立幼稚園の入園児童数が非常に少ないこと」と「保育士不足にも対応できること」の2点の理由からしても、公立幼稚園の認定こども園化により待機児童対策は非常に効果が高い施策だと確信しています。

 

もちろん高槻市もこの状況を放置しているわけでなく、2017年4月に「高槻市立認定こども園配置計画」を策定し、公立施設の認定こども園化を進めており、このことについては非常に評価しています。

しかし、そのペースが少し遅いのではないか、と私は考えています。

この計画は2018年度から2020年度までの3カ年の計画となっていますが、実際は2020度当初に完了する計画であり、1年間は具体的な計画がない状態です。
つまり、現計画が終わってから次期計画をスタートしてしまうと、最低でも2020年度の1年間は何も動きがない状態が続いてしまいます。
高槻市の待機児童問題はそんなに余裕がある状態ではないことは明らかですので、今年度中には次期「認定こども園配置計画」を策定し、切れ目なく認定こども園化を進めていくべきです。

1年でも早く認定こども園を増やすことができるようにするためにも、2019年度中に次期「認定こども園配置計画」を策定するように強く要望しています。

⑤新しい発想で待機児童問題を解決へ。

最後に、もう1つ新しく柔軟な発想で待機児童問題に取り組んでいる自治体が出てきているのでご紹介します。

今までは保護者が共働きである場合は、保育士がいる保育所などに子どもを預けることが前提となっていました。

しかし、その概念を覆し、保護者と子どもが一緒に職場に通勤し、保護者がテレワークで働いている間は、子どもはキッズスペースで過ごし、仕事が終われば一緒に自宅まで帰る、という新しい働き方が少しずつ広まっています。

さらにおもしろい点は、キッズスペースにはサポートスタッフを配置し、スタッフが子どもと一緒に過ごすのですが、このサポートスタッフは食事をあげたり、おむつを替えたりはせず、保護者が仕事の合間を縫ってすべて行います。つまりサポートスタッフは保育をしないので、保育士資格が必要ありません。


↑オフィスのイメージ(画像参照:株式会社ママスクエア ホームページ

この取り組みでは、保護者は保育所に入所できるかどうかを気にすることなく働くことができ、職場と託児場所が一緒であるため通勤も非常に楽になります。一方、保育所を整備しなければならない自治体側も、保育士不足や保育所整備に悩む必要がない上に、市内に仕事を生み出すことができ産業振興にもつながります。

この新しい取り組みを広めているのは、株式会社ママスクエアという会社なのですが、この会社と自治体が連携し、実際にママスクエアを市内に誘致しています。
提携を進めている自治体としては横浜市や福岡市などがあり、関西では大阪府柏原市などいくつかの自治体が連携協定を結んでいます。

保育士不足だから保育所整備が難しい、と単純にしてしまうのではなく、こうした新しく柔軟な発想をもって高槻市の潜在的な待機児童を解消していくべきだと考えています。
民間や先進自治体の取り組みを調査し、高槻市内への誘致や行政連携についても検討するよう、市に対して求めています

⑥人生に関わる問題だからこそ。

待機児童問題は各家庭の人生に関わる重大な問題です。

待機児童●人、とか、隠れ待機児童●人といったように単なる数字でみるのではなく、そこに1人1人の人生があり、生活があることを想像するべきです。
国の基準がどうとか、行政の都合がどうとかは関係がありません。

生活のためなのか、自身の夢や目標のためなのか、それぞれ想いがあって仕事を選んでいるはずです。
そんな仕事を泣く泣くやめなければならないような今の状況を1日でも早く変えたいのです。

いま実際に子育てをしているからこそ、当事者意識と責任感を持って、これからも待機児童問題の解決に全力で取り組んでまいります!

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