活動報告

【市政報告10号記事③】学童保育の改善と校庭開放の推進

投稿日 2021年8月14日

【質問 1回目】

 こちらのテーマについては、初当選時から一般質問や代表質問の場で何度も取り上げてまいりました。子どもたちが自由に伸び伸びと遊び過ごせる居場所づくりというと、反対する方は少ないでしょうし、むしろご賛同をいただけることのほうが多いかと思います。しかし、今の社会は本当にそのような環境を子どもたちに与えることができているのでしょうか。

 実際に、様々な調査で子どもたちの外遊びが減少していることが示されており、例えば千葉大学の調査では、平日に一度も外で遊ばないという小学生が農村部で6割、地方都市部で7割、大都市で8割であったようです。
 原因としては、テレビゲームなどが充実していて室内遊びのほうが多い、公園のルールが厳しくなって遊び場が減少しているなどが挙げられます。ゲーム自体は否定されるものではなく、遊びの一つとしてあってはいいものだと思います。

 ここで問題なのは、ほかの魅力的な遊びを選択できていないことであり、その原因の大きな一つが、自由に伸び伸びと外遊びができる場所、それが減少していることです。

 顕著なのが公園で、高槻市内のどの公園に行ってもボール遊び禁止の看板が立てられており、4年前の一般質問でも、市内で球技ができる公園は萩谷総合公園など3か所だということが答弁されていました。子どもたちが気軽に遊べる場所がないことが遊びの選択肢を狭めることにつながり、ゲームなどの室内遊びを助長している部分もあるかと考えられます。

 また、発達心理学の研究では、十分な遊びの体験の欠如が、抑鬱をはじめ、精神疾患にかかる確率が高くなることが示されています。子どもたちの心身の健全な育成のためには様々な遊びの体験が必要であり、そのために行政としても子どもたちに自由に遊べる居場所を確保することが必要とされています。

 つまり、これまでもずっと言い続けてまいりましたが、人口減少の進む高槻市において、子育て世帯を市内に呼び込むためにも、何より本市の子どもたちの心身の健全な育成のためにも、子どもたちが安心して自由に伸び伸びと遊び、過ごせる居場所をつくることが求められているのではないでしょうか。そこで、1問目として、4点質問します。

 1点目として、居場所の一つである放課後子ども教室について、市内小学校の開設状況と月平均の実施日数についてお答えください。

 2点目として、もう一つの居場所である市内小学校の学童保育における待機児童数、また利用児童の平日、土曜日の利用率をお答えください。また、学童保育における高学年のニーズについての調査結果をお示しください。

 3点目として、近年子どもたちの体力低下が問題となっていますが、令和元年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果と全国平均を下回っている原因についてお答えください。

 最後に、4点目として、校庭開放事業について、令和元年度の施政方針で具体的な検討が開始されて以来おおよそ2年がたちました。ご検討していただいていることには感謝しておりますが、これまでどのような検討をされてきたのか、その経過をお答えください。また、小学生の居場所づくりに対する市の考え方と課題認識についても併せてお答えください。

【答弁 1回目】

 1点目の放課後子ども教室についてですが、令和2年度の開設状況につきましては、全41小学校区において開設されております。また、令和元年度の1か所当たりの月平均実施日数につきましては、約2日の実施となっております。

 2点目の学童保育についてですが、令和2年4月現在の学童保育における待機児童数は38人でございました。また、児童の出席率についてですが、平成27年度分の利用実態を分析した結果によると、長期休業期間を含めた平日で74.2%、土曜日は15.2%でございました。
 次に、小学校高学年児童の学童保育のニーズ量についてですが、第二次子ども・子育て支援事業計画において、令和2年度の量の見込みを4年生635人、5年生427人、6年生234人と、合計1,296人としております。

 3点目の本市小学生の令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果につきましては、反復横跳びやソフトボール投げなどが特に全国平均を下回っており、敏捷性や投球能力などに課題があります。また、体力合計点が全国平均を下回る要因としては、ゲームやスマートフォンなどの利用時間の増加や運動時間が少ない子どもの割合が高いことなどが考えられます。

 4点目の小学校の校庭開放も含めた新たな放課後の居場所づくりについては、令和元年8月の機構改革を経て、子ども未来部を中心に検討を進めることとなりました。その後、教育委員会と情報共有を図るとともに、放課後の居場所の一つである学童保育の今後の在り方の検討と併せ、新たな居場所づくりについても検討をしていくこととしています。
 令和2年度においては、附属機関である子ども・子育て会議に諮問し、ご議論いただく予定としておりましたが、新型コロナウイルス感染症対策の影響により、着手できていない状況でございます。
 次に、小学生の居場所づくりについては、学童保育における待機児童の発生や高学年児童の受入れなどが課題となる中、本市の実情に合わせた事業の担い手や運営手法など、他市事例を参考にしながら、その在り方を検討していく必要があると認識しております。

【質問 2回目】

 放課後子ども教室については、担当課と地域の方々のご尽力により、全41小学校区において開設することに至ったことは、子どもたちにとっても大変喜ばしいことだと思います。一方で、月平均実施日数としては約2回と、まだまだ少なく、小学生の居場所としては十分に機能を果たせていない、そういった現状が見受けられます。

 また、学童保育については、民間学童保育室や臨時保育室の整備などで待機児童数は38名と、まだ多数存在しているものの、少しずつ減少させることができているようです。一方で、平日の学童保育利用率を見ると、約74%と4分の1の児童は利用していないということが分かりました。さらに、高学年のニーズ量としては、令和2年度の見込みを合計1,296名としており、市内で1,000人以上の高学年児童の居場所を確保できていないということも明らかとなりました。
 学童保育の利用条件は、おおむね週4日以上、終了時間が午後2時以降、かつ1日4時間以上となる形で就労または就学していることとされており、保育料も月額6,500円であるため、保育所の利用ほどハードルが高くなく、パートで働いているようなご家庭でも十分に対象となり得ます。また、学童保育は低学年から順番に入室させるため、保育の必要性の度合いで選定しているわけではありません。さらに、近年の保育ニーズが急増していることにより、学童保育のニーズも今後増大していくことが推測されることからも、今のままでは高学年対応を実現することは非常に難しい状況だと思います

 この2つから分かることは、高槻市が現在行っている事業では、小学生の居場所を十分には確保できていないということです。放課後子ども教室の地域密着の在り方を見直すのか、学童保育の利用条件を含めたそもそもの在り方を見直すのか、それとも校庭開放事業のように新たな居場所づくりの事業を始めるのか、そういったことを判断しなければ、今のまま事業を進めていっても本質的な課題解決につながらないことは、これまでの議論や取組の結果からも明らかになってきているのではないかと思います。

 さらに、小学生の体力合計点が全国平均を下回る状況については、ゲームやスマホなどの利用時間の増加に加えて運動時間が少ない子どもの割合が多いことが原因であるようです。こちら1問目でも触れましたが、公園などの子どもたちの自由な遊び場が少ないことによって、外遊びの選択肢が少ないことがゲーム等の利用時間の増加、または運動時間の減少につながっていることが推測されます。

 以上のことを踏まえ、学童保育の待機児童や高学年対応の問題を解決するためにも、また子どもたちの体力低下の原因となっている自由に外遊びができる居場所を確保するためにも、加えて子どもたちの心身の健全な育成のためにも、校庭開放事業が最も効果的な施策になると私は確信しております。これまでも、こちらご提案してまいりましたが、濱田市長によって令和元年度施政方針で放課後の居場所づくりの方針が示され、機構改革をした上で具体的な検討を進めていただいておりまして、まずそのことについては感謝申し上げます。
今年度は、新型コロナウイルスの感染拡大により、子ども・子育て会議の議論が止まってしまったようですが、こちらについては事情が事情ですので仕方ないことだと思います。しかし、当たり前のことですが、小学生が小学生でいられる時間はたったの6年間です。大人が検討している間にも、どんどん小学校を卒業していってしまいます。ぜひとも、来年度には子ども・子育て会議に諮問していただくことに加え、庁内においても具体的な検討を早急に進めていただきますようお願いいたします。

 そこで、2問目になりますが、高槻市の小学校の校庭利用に関する現状について数点伺います。

 高槻市では、帰宅後の小学生が学校に戻ってきて校庭利用をすることが暗黙の了解として容認されていることは、以前の一般質問で明らかとなっています。そこで、改めて確認いたしますが、市内の小学校で帰宅後の校庭利用を認めているその状況についてお示しください。

 また、こちらは正式な事業ではなく、あくまでも、先ほども言いましたが暗黙の了解として実施されているようですが、学校施設の利用を認めるという意味では誰かしらの許可が必要だと考えます。こちら、誰が許可をされているのかお答えください。

 最後に、帰宅後の校庭利用については、どのように保護者への通知、または児童への周知をされているのかお答えください。

【答弁 2回目】

 児童が下校後、改めて校庭を利用している状況でございますが、平成28年度の調査では、ほぼ全ての小学校において放課後一旦帰宅した上で学校の校庭で遊んでおり、現在もおおむね同様の状況であると認識しております。

 次に、校庭の利用につきましては、各校長の判断により容認しております

 最後に、保護者への通知や子どもたちへの周知につきましては、教育委員会で事業化していないため、通知等は行っておりません

【意見・要望】

 現在の放課後の校庭利用の運用については、数点問題があるのではないかと考えています。

 まず1点目としては、こちら教育委員会が認めたものでも市の事業でもないため、学校によって運用が違ってしまっていることです。校長によっては、前向きに取り組まれている学校がある一方、そうではない学校も存在し得るということであり、高槻市の子どもたちの居場所づくりとしては平等に機会が提供されていません。

 2点目の問題は、子どもたちの間でも校庭を利用できることを知っている児童と知らない児童が存在し得ることです。子どもたちに周知をしていないということは、何かしらのきっかけで知った児童は校庭を使うことができますが、一切知らない児童からすると、なぜ利用できているのかさえも分からず、利用を諦めている児童がいることも十分にあり得ます。

 最後に、一番大きな問題として、何か事故や事件があった際の責任の所在が曖昧なことです。一度帰宅しているため教育活動ではない、それは明らかだと思いますし、保護者の責任であるということが言えるかもしれませんが、学校施設の利用を校長の判断で容認しているのであれば、仮に事故などが起こってしまったときに、本当に保護者の責任だと言い切れるでしょうか。保護者に何の通知もせず、暗黙の了解として学校施設を利用することを容認しているその現状を鑑みると、学校が認めているものであり、何かあったら学校が面倒見てくれるだろうと考えている保護者がいることは想像に難くありません。保護者に通知しないことでリスクマネジメントをしているのかもしれませんが、むしろそれが潜在的なリスクになってしまっているのではないかと感じています。

 以上のことからも、保護者に対して校庭利用に関する約束事やルールを明記した通知を行い、児童に対しては校庭利用の趣旨を伝えた上で、平等に周知するべきだと思います。むしろ、事業でないからといって、保護者への通知や児童への周知を行わない理由が少なくとも私にはなかなか見つけることができなかったです。

 私としましては、従来からご提案させていただいているとおり、校庭開放事業を行うことが安全・安心で自由な小学生の居場所づくりとしての効果が高く、併せて学童保育の課題解決にもつながるため、ベストな選択だと考えております。現在、子ども未来部のほうで具体的に検討を進めていただいておりますので、改めてになりますが、ぜひとも早急な検討をお願いいたします。

 一方で、小学生の居場所づくりの検討と同時並行で、現在暗黙の了解として運用されている校庭利用については、行政としてのリスクマネジメントの意味に加え、高槻市として小学生の居場所づくりに前向きに取り組んでいることを保護者と児童に示す意味でも、やはり保護者への通知、児童への周知については取り組むべきだと考えています。この点については、教育委員会としても前向きにご検討いただきますようよろしくお願いいたします。

 学童保育の高学年対応や待機児童の問題、小学生の体力低下の問題、ゲームやネットへの依存の問題などなど、様々な問題の解決の一手となり得る校庭開放事業をぜひとも高槻市においても実現していただきまして、高槻市が本当の意味で子どもたちにとって優しいまちになることを強く願っております。

※令和2年第6回定例会(12月15日)議事録より引用

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