活動報告

「子供の放課後の居場所づくり」視察@箕面市、寝屋川市

投稿日 2016年11月26日

先週の話になりますが、同じ会派の真鍋議員と「子供の放課後の居場所づくり」の視察に行ってきました。
視察先は、放課後に「校庭開放事業」を市として実施している自治体である箕面市と寝屋川市です。
(両市のご担当者様、お忙しい中視察の受け入れありがとうございました!)

2市とも本当に良い取り組みをされていて、担当課のみなさまの子供たちへの想いがひしひしと伝わってきました。

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まず、そもそもなぜ私がこのテーマに取り組んでいるかについてご説明いたします。
今の大人たちの感覚ではなかなかわかりづらいのですが、今の小学生たちは、授業が終わった放課後に友達同士集まり校庭で自由にボール遊びなどができずに帰宅させられているという現状があります。
これは過去の小学校での凶悪事件などの影響により、子供を校庭で遊ばせていると「安全面に危惧がある」からという理由で、高槻だけでなく多くの自治体でこのような処置をしています。

しかし、子供の「安全」を憂慮するからといって、いまのやり方が本当に良いのか、という疑問を持っています。

そこで、実際に私と同じ考えを持ち、実際に「校庭開放事業」として、すべての小学校の放課後に校庭利用を認めている自治体へ視察に行った次第であります。

視察に行った上で、あらためて高槻市においても校庭開放事業を実施すべき、または実現可能だと考えるようになりました。

その理由は以下の5点です。
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1:本市には安心・安全に遊べる子供の放課後の居場所がないこと

放課後には校庭を利用できず、公園ではボール遊びができないため、子供が放課後に安心・安全に遊べる居場所がない現状である。子供の健全な育成のためにも、体力面の向上のためにも、そういった居場所が必要であることは明白である。

「子供にとっての安全」という面からも、公園や駐車場などではなく、小学校の校庭こそが最も安全で、自由に遊べる居場所であるので、子供の居場所づくりとして早急に校庭開放事業に取り組む必要があると考える。

2:公園でボール遊びを可能にすることが現実的ではないこと

たしかに公園で児童のボール遊びを実現する方法もあるかもしれないが、高齢者や小さな子供など、様々な住民が憩いの場として利用する公園をボール遊びを可能にすることは、ボール遊びをする児童以外の住民の危険性や地域住民の理解を得にくいことからも現実的ではない。

一方、小学校の校庭は児童しか入れないためボール遊びを気兼ねなくすることができ、騒音なども問題にならないため、子供の遊び場として最適であり、現実的な居場所の確保方策である。

3:公園などより、学校施設のほうが子供にとって安全であること

公園は誰でも入れる施設であるため、危険な人物の侵入を妨げることができず、子供が事件に巻き込まれることを防ぐことができない。また、常に大人の目が行き届くわけではないため、事故などにより怪我をした場合の対応が遅れてしまう可能性が高い。

一方、小学校の校庭開放事業を実現できれば、危険な人物に事件に巻き込まれる可能性は格段に低くなるうえ、事故が起こった際も、見守りスタッフによる迅速な対応が可能である。また、怪我をしてしまった際も、日本スポーツ振興センター保険を適用することができるため、事後対応も安心である。

4:特別な環境整備ではなく、当たり前な環境を確保するべきであること

私たち大人が子供の頃には当たり前であった「子供たちが自由に利用できる放課後の校庭」という環境を、今の子供たちにも提供するべきである。これは、特別なプラスアルファの事業ではなく、当たり前にあるべき環境を提供するという最も本質的な事業であることからも、住みやすさNo.1の街を目指す本市においては必ず必要な事業である。

5:予算がそれほど多く必要になる事業ではないこと

以上のような理由から必要性の高い事業であるが、予算がそれほど多く必要になる事業ではないことも実現を目指すべき理由である。箕面市や寝屋川市の仕組みをそのまま利用したとしても2,500万円ほどで事業が実施できるため、一般会計1,000億円以上の本市において、予算を捻出することは可能であると考える。

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以上が主な理由にはなりますが、その他、「子供の放課後の居場所づくり」として、放課後子ども教室と学童保育も絡んできます。簡単に説明します。

▼放課後子ども教室
・まず開設率に課題がある。高槻市全小学校(41小学校)の22箇所で開設で、開設率53.6%。一方、北摂他市ではすべての自治体が開設率100%。

・あわせて実施日数にも課題がある。北摂5市では1校あたり月平均4.4日(つまり週1日)は実施している。一方、高槻市は統計上は月平均3.3日になるが、樫田小学校がほぼ毎日実施している(高槻全体の実施日数の36%を担っている)という特殊な事情があるので、樫田小学校を抜けば月平均2.2日になる。つまり、2週間に1日しか実施できていない。

→全小学校の半分ほどの開設率にあわせ、実施日数も2週間に1日という状況であり、放課後の子供の居場所としては、放課後子ども教室が役割を担えていない。

▼学童保育
・対象である1~3年生の市内全児童数の31.7%が学童保育利用している。北摂の中でも入室率が非常に高い。
※近隣市の状況→茨木市:22.9%/吹田市:25.2%/豊中市:26.2%/箕面市:20.6%など
・これは、入室要件が少しあまめであることに加え、上記の放課後子ども教室が放課後の居場所になれておらず、他にも子供の居場所がないことが1つの要因だと考えられる。

・さらに、国は4年生以上の学童保育実施を求めているが、4年生以上の学童保育利用を高槻では実施できていない。さらに今の入室率だと実現は難しいと考えられる。

→これまでは学童保育の増室でなんとか対応してきたが、このままずっと増室していくことは厳しい。さらに4年生以上の受け入れは現状では到底実現できない。高槻では、子供の居場所が学童保育しかないこと、あわせて、学童保育の利用条件が比較的あまいことにより、どうしても学童保育に児童が集まってしまっている。

 

以上の点からも、放課後子ども教室(教育委員会)や学童保育(子ども未来部)という各部ごとに単独で議論するのではなく、校庭開放事業とあわせて、子供の放課後の居場所づくりを市全体で議論するべきです。

保育の必要性のある児童は「学童保育」に、プログラム型の交流や学びを求める児童は「放課後子ども教室」に、自由に友達同士で主体的に遊びたい児童は「校庭開放事業」に、それぞれ行けるように整理することが必要ではないでしょうか。
それにより、学童保育の入室率を抑えられ、放課後子ども教室のプログラムの役割が明確になり、校庭で自由に子供たちが主体的に遊び交流ができるようになり、すべての問題が解決につながっていくと考えています。

実際、箕面市も寝屋川市も「新放課後モデル事業」として、【学童保育+放課後子ども教室+校庭開放事業】の連携事業に取り組んでいます。
高槻ではまだその段階には来ていないので、まずは保育の必要性もなく、プログラムを受けたいというニーズもない児童のための居場所づくりとして「校庭開放事業」から始めるべきだと考えています。

この事業実施のための概算の予算「2,500万円」を用意できるか、高槻市の姿勢と覚悟が問われると思っています。

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