活動報告

一般質問『政策形成能力を高める組織づくりについて』/1問目

投稿日 2017年6月29日

先日本会議でおこなった一般質問を順次報告させていただきます!
今回の質問の趣旨はざっくり言うと、「政策形成能力」の中でも特に「調査研究」に力をいれることで、行政においてもエビデンスに基づく政策立案を実現していきましょう!というものでした。

事前打ち合わせや答弁を通して感じた役所側の本音としては、「必要なことはわかっちゃいるけど、そんなきれいごとで行政は進んでいませんわ…。」という感じですかね。

3問目の要望でも訴えたのですが、

~ 社会情勢や自治体の役割の変化を敏感に感じ取り、具体的な課題として認識し、解決に向けて取り組む自治体こそが、これからの地方分権・地方創生の時代を乗り越えられる ~

と考えており、こうしたテーマに真正面から向き合うかどうかが、自治体としての感度やセンスが試されるのだと思います。

1回の質問で行政を動かせるとは思っていませんので、僕自身もっとこの分野について研究し、今後も時期を見て提案を続けていく所存です!

でも、今回は質問を聞いていた議員や理事者の反応を見ても、「ややこしくて伝わっていない感」が半端なかったです。。笑

・・・ということで、今回は1問目とその答弁をご紹介します。

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◆質問◆

 自民党・蒼政会の竹中です。今回は「政策形成能力を高める組織づくりについて」をテーマに一般質問を行います。

 これからの自治体経営において、政策形成能力の向上が重要だと考えています。これにはいくつかの理由があります。

 1つ目は、地方創生や地方分権の推進です。2000年に施行された「地方分権一括法」以降、地方分権が急速に進められ、地方創生の中でも地域版総合戦略の策定が求められるなど、自治体による自己責任・自己決定に基づく政策形成が必要な時代となってきています。

 2つ目は、自治体の財政悪化です。日本全体で人口も経済も右肩上がりで伸びている時代であれば、住民に求められている政策を次々実現していくことが可能でした。しかし、これからは使える財源が限られ、同じ予算額を使うのであれば、より効果的で効率的な施策を正確に選んでいかなければなりません。

 また、そうした自治体組織の政策形成能力が必要になってきただけでなく、自治体で働く職員自身にも政策形成能力が必要となっています。これは自治体の事務数と職員数の変化について見ていくことで明らかになります。

 事前に確認したところ、高槻市の事務数の推移についてのデータはないようですが、わかりやすいところでは、中核市移行のタイミングで2000程度の事務数が増え、その後も様々な地方分権改革の中でも多くの権限委譲がなされてきており、今後も本市の事務数は増えていくことが予測されます。一方、事前にいただいた正規職員数の推移の資料を見ますと、中核市に移行した平成15年と現在平成29年時点で比較しますと、外部委託化や非常勤職員の採用などをうまく使いつつ、市長部局では70人程度増えてはいますが、庁内全体では150人程度職員が減っています。財政悪化などの理由から人件費を増やすことは難しく、今後も大幅な職員数の増加は厳しい状況です。

 つまり、地方分権による権限委譲や住民ニーズの多様化により、事務数はどんどん増えていくにも関わらず、職員数については、減っていく、ないしは増やすことが難しいという状況です。この事務量と職員数における「ギャップ」を埋めなければならず、そのためには、職員1人ひとりの政策形成能力を高める必要があり、それがひいては、自治体組織としての政策形成能力の向上にもつながります。

 そこで、まずこれらの現状について2点確認させていただきます。

【1-1】
 「政策形成能力」の必要性に対する本市の認識についてお答えください。また、政策形成能力向上に向けて研修や職員提案制度がありますが、それぞれの参加者の内訳や実績、あわせて課題認識についてもお答えください。

【1-2】
 2点目は、『高槻市人材育成基本方針』に記載のあるとおり、本市では職員の政策形成能力の向上を目指しておられますが、この能力が人事評価にどのように反映されるのかも大切な視点だと考えています。現在は政策形成能力について、どのように人事評価に反映されているのか、お答えください。

 

 次に、政策形成能力をもう少し細分化し、より具体的に議論を進めたいと思います。

 一般的に政策形成のプロセスとしては、①問題発見→②課題設定→③問題分析→④政策立案→⑤政策決定といった過程をたどります。⑤の政策決定には、市長の政治判断や議会の議決が絡んできますので、自治体としての政策形成能力は、④の政策立案までです。その政策立案の場面で、効果的・効率的な政策の企画立案を図るためには、③の問題分析までの「調査研究」と呼ばれる過程がとても重要になります。政策立案の前提となる調査研究の質が低いと、課題解決のためのより適切な政策を開発することができず、効果の低い政策を選んでしまったり、無駄に費用がかかってしまったりします。

 この調査研究を精緻に行うためには、特に力を入れるべきなのが「問題分析」のところです。これは、現状分析や将来の環境変化分析、住民ニーズの把握などがあたります。具体的には、自治体が持つ基礎調査やアンケート調査などのデータ分析、検診結果やWEB来訪者の行動分析等のビッグデータの活用などがあげられます。
ここで精緻に問題分析を行い、エビデンスを揃えることができれば、そのエビデンスを基に立案する政策は、これまで以上に実効性が高いものになります。つまり、それだけ問題分析におけるデータの分析が重要だということです。そこで、3点質問いたします。

【1-3】
 住民へのアンケート調査などではデータ分析はもちろんのこと、データ収集の設計段階から統計学などの専門性が求められます。また、ビッグデータの正確な分析にも専門的な知見が必要であります。そこで、本市において、そのようなデータ分析にあたってどのような体制で行っているのか、お答えください。

【1-4】
 また、地方自治体におけるビッグデータの活用が、2015年のRESAS提供以降注目を集めています。高槻市が持つデータやRESASで拾えるデータ以外にも、政府統計のe-Statなど様々あり、それらの活用が精度の高い政策立案につながるはずです。そこで、本市においてビッグデータの分析を政策立案に活かした事例について、お答えください。

【1-5】
 最後に、職員の政策形成能力を高める上では、外部に委託せず、職員自身で調査研究や企画立案の実践や経験をした上での、庁内でのノウハウの蓄積が重要だと考えています。そこで、企画や計画に関する外部委託量と金額について、過去3年分お答えください。

 以上、1問目になります。

 

◆答弁◆

 多様化する行政ニーズへの対応や、本格的な人口減少社会に向け、将来の社会の姿を前提とした新しいスタイルの構築が求められている中、職員の政策形成能力は今後ますます必要になると考えております。
職員研修においては、政策形成能力向上に資する研修として、採用6年目前後の職員を対象とした政策法務研修、新任期の主査級職員を対象とした企画提案力向上研修を実施しており、また、新任課長級においても業務の中での課題を抽出する技法などを学ばせております。
 これらの研修は、知識の習得として終わるのではなく、実務の中で発揮される内容でなければならないということが重要であると考えており、研修にあたっては、具体的な手法を学ぶ、実践させるなどして、実務に生かせるようなものとなるように、必要に応じて見直しを行いながら実施しております。また、この他にも、希望に応じて、派遣研修や通信講座の受講も行っております。

 職員提案については、職員の事務改善に対する創意工夫並びに市政に係る創造力及び研究心の向上を図ることにより、事務の合理化及び市民サービスの向上に資するために、平成26年度より現在のスタイルで実施しており、平成28年度は、「業務改善提案」に加え、「既成概念に捉われることのない革新的な提案」を募集しました。提出については、課長級以上職員の提出を必須としたため、全体で245件の提案のうち8割弱が課長級以上の管理職、残りが課長代理級以下の管理職及び一般職からでした。
 これらの提案については、所管部局において実現に向けた検討を進めているところですが、予算面や制度面から実現可能性が低いと予想されるもの、発想は大胆なものの具体化に向けては更に調査、検討を要するものなど、精度の更なる向上が必要であると考えております。

 本市の人事考課制度においては、政策形成に必要な能力を各職階において評価の要素としております。具体的には、部長級及び部長代理級の職員は、各部門の目的遂行のために、施策、方針、計画、戦略又は手段等の立案を適切に行えたか、課長級以下の職員は、業務上の課題や問題点の分析とその解決に向けた取組みを適切に行うことができたか、また、業務に必要となる様々な知識や情報を幅広く収集し、効果的に活用することができたかを着眼点として評価する項目を設けております。

 データ分析の体制についてですが、各部局において、主に各行政分野の基本となる計画の策定段階や新規施策の立案時等に、アンケート調査やデータを活用し、対象となる住民ニーズの把握や施策効果の検証等を行っているところです。
政策立案へのデータ活用についてですが、新規施策の立案や既存施策の見直し等に当たっては、対処すべき行政課題について、現状の課題や市民ニーズの把握を行うとともに、各部局において保有、収集したデータ等を用いて、見込まれる成果・効果等の検証を実施しております。

 企画や計画に関連する外部委託についてのお尋ねですが、明確に区分できない部分もあるため、新たな施策決定等に資すると判断される委託料で申し上げますと、各年度当初予算における概算でございますが、件数につきましては、各年度とも10数件程度であり、金額につきましては、平成27年度は約8,000万円、平成28年度は約9,000万円、平成29年度は約1億円でございます。

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